山形新幹線からデビューした新型車両E8系の乗車レポートをお届けします。
2024年3月16日から運行開始した新しい新幹線、E8系。
1999年12月にE3系1000番台がデビューして以来、山形新幹線では25年ぶりの新車となります。
複数回乗車のチャンスがあったため、普通車指定席・グリーン車を乗り比べてみることに。
- 福島駅~郡山駅(新幹線区間) 普通車指定席
- 福島駅~山形駅(在来線区間) グリーン車
以上のように利用してみました。
旧型車両のE3系2000番台に比べ全体的に性能が向上し、よりハイスペックになった山形新幹線。
ワンランク上の快適な旅を楽しめることでしょう。
当ブログ「東北旅びより」では、以下の内容を紹介していきます。
- 山形新幹線の新型車両E8系とは?
- 新型車両E8系と、旧型車両E3系・秋田新幹線E6系との違い
- 山形新幹線E8系 普通車指定席の乗車記
- 山形新幹線E8系 グリーン車の乗車記
- 山形新幹線E8系に乗るには?乗り方・運用スケジュールについて
ぜひ参考にしてみてくださいね。
25年ぶりの新車導入!山形新幹線の新型車両E8系が2024年3月16日にデビュー
2024年春から山形新幹線用のE8系新幹線車両を順次投入します。また、東北新幹線の宇都宮~福島間において、E5系と併結し300km/h運転を目指します。
引用:JR東日本
2024年3月16日から、山形新幹線で新型車両E8系が運転開始しました。
列車名は旧型車両と同様のつばさ号。
同じくミニ新幹線の秋田新幹線E6系がデビューした際は「スーパーこまち」の名称が与えられていました。
しかし今回は新型を「スーパーつばさ」と呼んで区別することはしないようです。
こちらが山形新幹線の新車、E8系。
性能は秋田新幹線E6系をベースにし、塗装は現行のE3系のカラーリングを受け継いでいるよう。
特徴的な先頭車両の長いノーズからはE6系らしさが感じられます。
- 最高時速が275kmから300kmへ
- 横揺れが低減され乗り心地向上
- 冬季の降雪対策がさらに万全に
- 電源コンセントを全座席に設置
- 大型荷物置き場を全号車に設置
スピードアップと定員確保の両立を図った結果、最高時速はE6系よりも抑えめの300kmに。
E6系に比べ鼻が短いのはこのためですね。
繁忙期の山形新幹線はかなり混雑するので、こればかりは仕方ないかと。
また速度が向上したことで、東京~山形・新庄の所要時間が最大4分短縮するそう。
都内~山形の移動がより便利に、そして快適になりそうです。
今年はこいつを死ぬほど追いかける1年になりそうです pic.twitter.com/yiVlh97ibd
— なか@東北旅びより (@naka_travel) March 18, 2024
新車の導入は2008年に誕生したE3系2000番台以来、16年ぶり。
1999年12月にデビューしたE3系1000番台と比較すると、なんと25年ぶりになります。
2024年時点において山形新幹線で最も古かった車両が、E3系1000番台。
このE3系1000番台を全て置き換える形で、現在3本のE8系が運行中です。
なお2026年頃までには、運転する車両がすべてE8系に置き換わる予定とのこと。
秋田新幹線や山形新幹線の主力として長く活躍してきた、E3系。
見納めの時期もいよいよ迫ってきましたね。
余談ですが、2024年6月1日~14日の期間限定で、山形新幹線が半額になる「トクだ値スペシャル21」が実施されます。
これを利用してE8系や、近い将来引退するE3系に乗るのもアリでしょう。
【E8系 乗車記】普通車・グリーン車の乗り心地は?山形新幹線つばさでデビューした新型車両を体験
福島駅でE5系やまびこ号とE8系つばさ号が連結
旅のスタートは福島駅。
福島県の県庁所在地、福島市の代表駅であり、山形新幹線と東北新幹線の分岐駅でもあります。
まずは当駅より「つばさ122号」で、郡山駅まで行くことに。
福島駅~郡山駅は、同区間を走る東北本線だと50分近くかかる区間。
新幹線なら10分ちょっとですので、たった一駅の区間と言えど速達効果は絶大です。
新幹線のりばの列車編成案内。
地味にE3系、E8系で列車の形が違っているのが面白いです。
ホームに設けられた連結・切り離しの見学ゾーン。
これも東北ならでは。
新幹線の連結・切り離しを日常的に見られるのは、全国においても盛岡駅・福島駅の2駅のみです。
先に到着したE5系やまびこ号が連結器カバーを開け待機。
比較的早い時間帯でしたが、小さなお子さんを連れたご家族もけっこういるみたいで驚きでした。
やはり新しいE8系目当てでしょうか。
数分後、山形からやってきたE8系つばさ号が入線。
こうして遠くから見ると、かっこよさよりもかわいさが際立つ感じがします。
福島駅で連結するE5系とE8系 pic.twitter.com/fmUNr0YQCK
— 東北旅びより@東北の一人旅メディア (@tohoku_travel) April 12, 2024
あっという間に連結作業が完了。
10両編成のE5系と、7両編成のE8系を繋いだ17両編成。
東京駅まで、やまびこ号とつばさ号は併結運転をおこないます。
連結を前提としているため、山形新幹線には11~17号車の数字が割り当てられています。
グリーン車は最も東京寄りの11号車で、グランクラスはありません。
ドアの下部に設けられたドアステップも、ミニ新幹線ならではの特徴。
在来線に合わせた小さいサイズで設計されているため、線路への落下防止対策として折り畳み式のステップを備えています。
E8系には特にロゴマークは付けられていないようです。
これはちょっと意外。
側面をよく見ると、ドア位置もE3系と少し違っているよう。
特に16・17号車に乗車する際は要注意。
- 16号車 ドアが東京寄りの車端部に1つ
- 17号車 ドアが山形寄りの車端部に1つ
ドア同士が他に比べ離れているため、下手したら1両分歩く羽目になります。
【福島駅~郡山駅】新型車両E8系 普通車指定席の車内
福島駅から郡山駅まで、E8系の普通車指定席を利用。
通常の新幹線よりも幅が狭いため、座席は5列でなく4列になっています。
またE3系と異なる点として、各号車に大型の荷物置き場が設置されました。
スーツケースなど大きめの荷物があっても安心でしょう。
黄色と紅色のグラデーションカラーが特徴的な、E8系の普通車指定席の座席。
座席は山形県の県花である紅花、床は同県を流れる最上川を表しています。
従来の車両に比べ、座席幅が1cm、奥行は4cm広くなったそう。
フットレストがなくなった分、足元はより広く感じます。
背面テーブル、小物を入れるネット、ドリンクホルダーが設置されています。
これらは従来通り。
E8系は全座席コンセント完備。
E3系2000番台はコンセントがない座席もあったため、これは地味に嬉しいポイント。
こうして見ると、どことなく秋田新幹線E6系っぽい雰囲気も感じます。
E8系の座席数は指定席、グリーン車合わせて355席。
E3系の394席に比べ39席減っています。
- 荷物置き場が大きくなった
- スピードアップのため鼻が長くなった
- 車いす対応の座席が増えた
考えられる理由としては、こんな感じでしょうか。
デッキと洗面化粧台。
12号車には車いす、ベビーカーが入る多目的トイレも設置されています。
とある用で福島移動してたところ、銀色つばさ+引退したと思われた200系カラーE2系カップルが偶然撮れたのでどうぞお納めください pic.twitter.com/XdIRB9K1U0
— なか@東北旅びより (@naka_travel) April 6, 2024
福島駅を出発すると、復刻カラーの銀色つばさ&200系カラーのE2系と行き違いに。
まさかダイヤ改正後にこの組み合わせを拝めるとは。
2024年3月16日より、つばさ号の連結車両はE2系でなくE5系となりました。
E2系の最高速度はE3系と同じく275km/h。
山形新幹線がすべてE8系に置き換わる未来を見据えての変更なのでしょう。
爆速で高架橋を駆け抜けるつばさ号。
宇都宮駅~福島駅間では、最高時速300kmでの運転が可能になりました。
しかもスピードアップしたにも関わらず、E3系に比べ揺れが少なく、座席の快適性も相まって乗り心地は向上したように思います。
福島駅から10分ちょっとで郡山駅に到着。
ここで下車しE8系を見送ります。
東京方面へ向かうE8系 pic.twitter.com/klg3VmEDNE
— 東北旅びより@東北の一人旅メディア (@tohoku_travel) April 12, 2024
反対側には仙台行きのE5系やまびこ号が待機。
E2系とE3系が引退すれば、これが日常となるんでしょうね。
新車のデビューはいつになってもワクワクするものですが、同時に寂しさも覚えます。
E2系とE3系も、今のうちにたくさん乗っておかなければ。
【福島駅~山形駅】新型車両E8系 グリーン車の車内
福島駅に入線するE8系とE5系 pic.twitter.com/5dPWr0s1UY
— 東北旅びより@東北の一人旅メディア (@tohoku_travel) April 13, 2024
新観光列車「あいづSATONO」での旅を終え、帰路につく筆者。
福島駅から再びE8系に乗車します。
復路で利用するのはつばさ149号の山形行き。
東京駅から連結してやってきた2つの列車も、福島駅で切り離し。
やまびこ号は仙台方面、つばさ号は山形方面へと分岐します。
終点の山形駅まではグリーン車を利用。
山形・新庄行きの列車の場合、グリーン車は最後部となります。
木目調の明るい雰囲気だった普通車指定席の入口に比べ、グリーン車はシックで厳かな印象。
これより先はグリーン券を持つ者だけが入れる特別な空間です。
普通車と同じくグリーン車も4列の配置で、定員は26名。
車いす対応の1人掛け座席も用意されています。
小さめですが、荷物置き場も設置されているよう。
針葉樹林の広がる月山と、最上川の水面の揺らぎをモチーフにしたグリーン車。
絨毯の床が質の高い空間を演出してくれます。
足元のレッグレストも、グリーン車ならではの特徴のひとつ。
革張りのシート、木目調のひじ掛けは高級感があり、旅をより上質なものにしてくれます。
革張りの座席は疲れてしまうイメージがあり、少し苦手意識があった筆者。
E8系グリーン車の場合はまったく疲れることはなく、驚きました。
どうやら体が特に触れやすい部分だけ革ではない生地になっているんですね。
この作りが関係しているんでしょうか。
足元の広さは旧型車両、E3系2000番台と同じくらい。
座席は深く倒れ、レッグレストもあるため普通車よりもリラックスして過ごせます。
ただ車体幅が狭いため、どうしても隣との距離が近くなりがち。
今回は特に窮屈さは感じませんでしたが、隣に人がいたらまたちょっと違ってくるのかも。
テーブルは分厚く安定しており、使っていて安心感があります。
手前に引き出して使用できるのも非常に便利。
ひじ掛けにはミニテーブルも搭載。
ドリンクホルダーと小物を入れるポケットもありますが、普通車よりも上質に感じます。
2つのテーブルを同時に出してもぶつかり合うことはありません。
座席上部に付いた読書灯。
E3系2000番台は上部にスイッチがありましたが、E8系の場合はひじ掛けに付いてます。
上まで手を伸ばす必要がなくなったので、かなり楽です。
グリーン車も各座席に1つずつ、コンセントを完備。
コンセントの場所はひじ掛け部分です。
見れば見るほどE6系と超そっくり。
ただE3系やE6系に比べ、照明は白色の強みが増し、より明るさが際立っているように感じます。
福島駅より在来線区間に入線する山形新幹線 pic.twitter.com/x61fNc2yZG
— 東北旅びより@東北の一人旅メディア (@tohoku_travel) April 13, 2024
福島駅を出発すると、つばさ号は高架橋をくだり在来線区間へ。
これより先は形式上、在来線の特急列車として奥羽本線内を走行します。
ここを当たり前のように毎日新幹線が走ってるってよくよく考えたらすごすぎる pic.twitter.com/LwCIhA7z3i
— なか@東北旅びより (@naka_travel) March 22, 2024
最高時速も300kmから130kmに。
ただ福島駅~米沢駅間は、奥羽本線内で最もハードな峠越え区間。
新幹線とは思えないほどのゆったりとしたスピードで走行します。
峠を越えると、列車は徐々に加速。
いつも在来線区間では、スピードを上げるにつれ揺れも大きくなる印象がありました。
しかしE8系はびっくりするほどスムーズで静か。
これも地味に驚きが大きかった点のひとつです。
終点の山形駅に到着
福島駅から1時間少々で終点の山形駅に到着。
とても快適な時間を過ごせました。
山形駅の新幹線ホームには、E3系・E8系それぞれの号車案内のイラストも。
これを見られるのも2026年頃まででしょうか。
駅内は超歓迎ムード。
これでもかというほどのポスターの量です。
山形新幹線から新たにデビューしたE8系。
しかしそれは同時に、長らく愛されてきた旧型車両の終焉が近づいているということ。
E8系が山形の顔として末永く愛されることを願うと共に、E2系やE3系にもできる限り乗っておこうかと思います。
【乗り方・運用スケジュール】山形新幹線E8系の時刻表・停車駅・料金・予約方法
運行ダイヤ
下り(東京駅発)
列車名 | 東京駅 | 山形駅 | 新庄駅 |
---|---|---|---|
つばさ131号 | 9:24発 | 11:46発 | 12:31着 |
つばさ149号 | 17:00発 | 19:45着 | ー |
つばさ157号 | 19:16発 | 21:57発 | 22:45着 |
車両の運用上、E3系で運転する場合があります。
上り(新庄駅・山形駅発)
列車名 | 新庄駅 | 山形駅 | 東京駅 |
---|---|---|---|
つばさ122号 | 5:40発 | 6:25発 | 9:12着 |
つばさ124号 | ー | 7:12発 | 9:35着 |
つばさ144号 | 13:18発 | 14:04発 | 16:48着 |
車両の運用上、E3系で運転する場合があります。
また以上の列車以外にも、臨時列車としてE8系で運転することもあります。
時刻表・停車駅
下り(東京駅発)
列車名 | 出発駅 | 出発時刻 | 到着駅 | 到着時刻 | 途中停車駅 |
---|---|---|---|---|---|
つばさ131号 | 東京 | 9:24発 | 新庄 | 12:31着 | 大宮 福島 米沢 山形 天童 さくらんぼ東根 村山 大石田 |
つばさ149号 | 東京 | 17:00発 | 山形 | 19:45着 | 上野 大宮 宇都宮 郡山 福島 米沢 高畠 赤湯 かみのやま温泉 |
つばさ157号 | 東京 | 19:16発 | 新庄 | 22:45着 | 上野 大宮 宇都宮 郡山 福島 米沢 山形 天童 さくらんぼ東根 村山 大石田 |
上り(新庄駅・山形駅発)
列車名 | 出発駅 | 出発時刻 | 到着駅 | 到着時刻 | 途中停車駅 |
---|---|---|---|---|---|
つばさ122号 | 新庄 | 5:40発 | 東京 | 9:12着 | 大石田 村山 さくらんぼ東根 天童 山形 かみのやま温泉 赤湯 高畠 米沢 福島 郡山 宇都宮 大宮 上野 |
つばさ124号 | 山形 | 7:12発 | 東京 | 9:35着 | 米沢 福島 大宮 |
つばさ144号 | 新庄 | 13:18発 | 東京 | 16:48着 | 大石田 村山 さくらんぼ東根 天童 山形 かみのやま温泉 赤湯 米沢 福島 郡山 宇都宮 大宮 上野 |
料金
東京駅~山形駅 | 指定席:11,450円 グリーン車:15,110円 |
---|---|
東京駅~新庄駅 | 指定席:13,000円 グリーン車:17,970円 |
- ピーク時は自由席が混雑する
- 「始発駅に近いほど座席の確保が有利で不公平」と不満の声が上がる
以上の理由から、2022年3月より自由席が廃止に。
山形新幹線つばさ号は全車指定席化されました。
そのため現在、自由席は設定されていないので要注意です。
予約方法
- 駅に設置された指定席券売機
- えきねっと
- みどりの窓口
主な予約方法は以上の通り。
筆者としては、新幹線などの申込ができるウェブサイト「えきねっと」を使うのがおすすめ。
交通系ICカードで乗車できる「新幹線eチケットサービス」を使うと、時期に関わらず指定席が200円引きになります。
また割引サービス「トクだ値」を利用することで、5~30%OFFにすることも可能です。
期間限定の「トクだ値スペシャル21」を実施しているタイミングであれば、なんと50%OFFで乗車できることも。
【E8系 乗車記】普通車・グリーン車の乗り心地は?山形新幹線つばさでデビューした新型車両を体験|まとめ
以上、今回は「【E8系 乗車記】普通車・グリーン車の乗り心地は?山形新幹線つばさでデビューした新型車両を体験」という内容でお届けしました。
25年ぶりに新車導入された山形新幹線。
都内~山形の移動がますます便利に、そして快適になることでしょう。
新型車両E8系が新たなる山形新幹線の顔として、沿線の人々に愛されることを願うばかりです。