青春18きっぷを使い、仙台から東北本線・東海道本線・山陽本線・伯備線・山陰本線を経由して出雲市まで行ってみました。
出雲大社の玄関口、島根県の出雲市駅。
仙台・東京方面から出雲へ行くなら、以下の2パターンが主なルートとなるでしょう。
- 新幹線・特急やくもを乗り継いで行く
- 新幹線・寝台特急サンライズ出雲を乗り継いで行く
仙台からは片道1,000km以上あるため、本来なら新幹線・特急を使うところ。
それを在来線の普通・快速列車だけで行くと、一体どのくらいの所要時間がかかるのでしょうか?
そんなわけで当ブログ「東北旅びより」では
- 青春18きっぷで鉄道旅行をしてみたい
- とにかく電車で遠くまで行ってみたい
- 仙台・東京方面から出雲まで列車で行くとどんな感じなのか知りたい
という人へ向けて
- 青春18きっぷ 仙台~東京~出雲までの乗車レポート
- 電車で仙台から出雲市まで行く際に知っておきたいこと
を紹介していきます。
青春18きっぷとは?
青春18きっぷとは、JRの普通列車や快速列車、BRT、JR西日本宮島フェリーなどが3・5日間乗り放題になる切符です。
- バス・ラピッド・トランジット(バス高速輸送システム)の略
- バス専用道などを走ることで、路線バスよりも速達性、定時性を確保できる
10,000~12,050円で発売されてるので、1日あたり2,000円分ほどの移動をすれば元を取れます。
交通機関 | 料金 |
---|---|
東北新幹線(仙台~東京) 東海道・山陽新幹線(東京~岡山) 特急やくも(岡山~出雲市) | 約23,000~30,000円 |
東北新幹線(仙台~東京) 寝台特急サンライズ出雲(東京~出雲市) | 約26,000~34,000円 |
通常、仙台~出雲の移動費は大体こんな感じ。
仙台空港~出雲空港の直通便なら1万円台でもアクセス可能でしたが、その飛行機も2024年1月で運航終了に…
現在は宮城県と島根県をダイレクトで結ぶ交通機関がないため、やはり高くついてしまいますね。
しかし青春18きっぷを使えば、なんと実質5,000円以下で仙台~出雲を移動可能。
青春18きっぷの詳しい内容は、以下のページを参考にしてみてください。
【青春18きっぷ旅行記】仙台~東京~出雲市の鈍行旅!サンライズ出雲を使わずに行くと?
仙台駅から始発の東北本線に乗車して東北縦断
スタートは仙台駅。
予定としては、以下のように進んでいこうかと。
- 1日目 仙台~(東北本線・東海道本線)~大阪で宿泊
- 2日目 大阪~(東海道本線・山陽本線・伯備線・山陰本線)~出雲市
青春18きっぷのみで行くことにこだわりたいので、途中で新幹線・特急は使わずに行きます。
1日目の目的地は大阪。
大阪までは路線距離にして約900km…
まずは6時発の東北本線、郡山行きに乗車。
乗車した車両の車内はこんな感じ。
「ロングシート」と呼ばれる、窓側が背もたれになっているタイプの座席です。
仙台駅から約2時間半、郡山駅に到着。
ちょうど通勤、通学ラッシュの時間帯なので賑やかです。
駅前は飲食店や商業施設など充実してますし、ここで軽食をとったりするのもアリでしょう。
郡山駅から40分ほどで新白河駅に到着。
新白河駅は東北新幹線も乗り入れている駅。
ただ中心部から離れているため、駅前は閑散としています。
黒磯行きの東北本線へと乗り換え。
青春18きっぷシーズンのためか、いつもより混雑している様子でした。
写真は違う車両のものですが、座席は同様の配置。
ロングシートの他、2人掛けの座席が向かい合わせに配置されたボックスシートの車両も連結されてます。
余談ですが、東北本線は乗り換えが多い路線。
快速列車などもほとんど走ってないため、普通列車で地道に向かう必要があります。
新白河駅から約25分、黒磯駅に到着。
新白河からの乗客のほとんどが、そのままの流れで宇都宮行きの列車へ。
車両も5両から3両に減るため、より座席の争奪が激しくなります。
黒磯駅から約1時間、宇都宮駅に到着。
県庁所在地ということもあり、宇都宮駅周辺は飲食店や商業施設が充実している印象。
時間に余裕があれば、早めの昼食にしてもいいでしょう。
首都圏では普通列車グリーン車で快適移動!
宇都宮駅からは、平塚行きの東北本線に乗車。
このタイプの車両の最大の特徴とも言えるのが、4号車・5号車に連結されたグリーン車。
車内はリクライニングシート、テーブル完備。
乗車の際に1,000円前後の追加料金が発生するものの、まるで特急のような快適性でワンランク上の鈍行旅を楽しめます。
今回は熱海駅まで普通列車グリーン車にお世話になります。
宇都宮駅から約3時間半、熱海駅に到着。
たった1回の乗り換えで栃木県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県をまたぎ、静岡県に。
恐るべし、首都圏の鉄道網。
東海道本線でJR東海エリアを縦横断
熱海駅からは管轄がJR東日本からJR東海へ。
熱海駅から静岡方面の東海道本線に乗り換えます。
ちなみに熱海~浜松で運行する列車はほぼロングシート。
運が悪いとトイレすら付いてない車両に出くわすことも。
そのため、青春18きっぷ利用者からは特に恐れられているエリアでもあるのです。
途中の掛川駅で下車。
時刻表を確認したところ、次に乗る豊橋行きがここ掛川駅始発の列車とのこと。
始発駅から乗った方が人が座れる確率も高いですからね。
豊橋行きの列車がホームに入線。
車内はもちろんロングシート。
合計3時間ほどこの座席のお世話になる予定ですが、慣れているおかげかそこまで苦になりません。
東北も似たような車両がバンバン走ってるので。
30分ほどで豊橋駅に到着。
ついに愛知県に突入です。
大垣行きの列車に乗り換え。
愛知県の端から名古屋を越え、岐阜県の大垣市までこれ1本。
座席も転換クロスシートで、快適に移動できます。
大垣駅に到着しました。
いよいよ岐阜県に突入。
ここからは米原行きの東海道本線に乗り換えます。
青春18きっぷシーズンに加え、帰宅ラッシュにばったり遭遇。
車内はなかなかの混雑ぶりです。
日は暮れましたが、まだまだ進みます。
米原駅に到着。
ついに滋賀県に入りました。
米原駅からはJR西日本のエリアとなります。
JR西日本エリアに突入!初日の目的地 新大阪駅へ
本日最後の列車。
米原駅からは播州赤穂行きの新快速に乗り換えます。
車内は快適な転換クロスシート。
新大阪までお世話になります。
仙台駅から約17時間、ついに大阪の地に降り立つ筆者。
本日は「カプセルホテルJGARDEN新大阪」にお世話になります。
2日目スタート!新快速で一気に関西脱出
2日目は新大阪駅からスタート。
朝ラッシュの時間帯ということもあって、やはり座席は確保できず…
満員電車に揺られつつ、引き続き西を目指します。
東海道本線、山陽本線の境目である神戸駅に停車。
新幹線の境目は新大阪駅ですが、在来線は神戸駅なんですね。
相生駅で途中下車し、岡山行きの山陽本線に乗り換え。
運よく座席を確保できました。
青春18きっぷシーズンのためか、相生駅~岡山駅間は終始混雑している印象です。
混雑を避けるために次の列車を利用しようにも、岡山方面へ向かう列車は大体1時間に1本。
駅周辺にも時間をつぶせそうな場所は少ないですし、意外と要注意区間かもしれませんね。
岡山駅から伯備線に乗り換え
相生駅から約1時間、岡山駅に到着。
ついに中国地方に上陸です。
岡山駅では、間もなく新車に置き換えとなる特急やくも381系を撮影。
岡山駅からは新見行きの伯備線に乗り換え。
ここから先は、普通列車で特急やくも・寝台特急サンライズ出雲のルートを辿っていくことになります。
特急やくもなら出雲市まで3時間のところ、鈍行では5時間半。
初めての山陰への旅ですし、このくらいゆっくりの方がちょうどいいかもしれませんね。
古くから使われている車両ですが、中身は現代的な転換クロスシート。
倉敷駅から山陽本線と分岐し、総社駅に到着。
この駅で乗客のほとんどが降り、車内は数人程度となりました。
険しい山道をゆっくりと進む伯備線。
新見駅までは、高梁川と並走するように走ります。
左右どちらの車窓も見ごたえ抜群です。
岡山駅から約1時間半、終点の新見駅に到着。
新見駅は山中の小さなターミナル駅といった印象で、駅構内は広め。
伯備線のほか、姫新線や芸備線も乗り入れています。
1番乗り場に停車中の芸備線。
まさか1日3往復しかない備後落合行きの列車を旅行中に拝めるとは。
新見駅からは、米子行きの伯備線に乗車。
新見~米子間の普通列車は大体2~3時間に1本。
新見から先の区間はガクッと減ります。
特急やくもなら1時間に1本は走っているので、米子までワープするのもアリかと。
車両は115系の2両編成。
新見駅まで乗車した115系の座席とは異なり、こちらは昔ながらのボックスシートが並ぶ車内です。
険しい山道を右へ左へ蛇行しながらゆっくりと進み、新郷駅に到着。
新郷駅は岡山県内最後の停車駅。
隣の上石見駅からは、いよいよ鳥取県です。
山陰に上陸 米子駅から出雲市行きの列車に乗り換え
新見駅から約2時間、米子駅に到着。
伯備線の終点は2駅前の伯耆大山駅ですが、全列車が米子駅まで直通しています。
鳥取県の西の玄関口、米子市の中心駅。
駅内は綺麗に整備されており、地元の名産品なども買えるようです。
また商業施設や飲食店、ホテルも複数点在しており、ここで一息つくのもよさそう。
米子駅でひと休み中の山陰で活躍する気動車たち。
米子駅と言えば、今ではもう数少ない扇形機関庫がある場所のひとつ。
東北だと荒屋新町駅、会津若松駅でしか見られないので非常にレアです。
この旅ラストを飾る列車。
出雲市行きの山陰本線に乗車し、目的地まで向かいます。
使用車両はキハ126系。
2両編成の車内には、乗客が4割程度といったところしょうか。
驚異的な足元の広さ。
ここまで広い普通列車は初めてかもしれません。
向かい側に人がいてもスペースに余裕があり、全く気にならないほどでした。
目的地の出雲市駅に到着
米子駅から約1時間半、ついに目的地の出雲市駅に到着。
大阪からは9時間ほどかかったので、つまり仙台から出雲市までは合計26時間ほどという計算になります。
出雲市駅では時間の許す限り撮影タイム。
ゴールを祝した自分へのご褒美です。
こうしてホームにいるだけで、次から次へと普段は見られない車両がやってくるなんて。
最終的な所要時間・乗り換え回数・費用まとめ
旅程 | 【1日目】6:00発 仙台→22:53着 新大阪 【宿泊先】カプセルホテルJGARDEN新大阪 【2日目】7:52発 新大阪→17:02着 出雲市 |
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乗り換え回数 | 【1日目】10回 【2日目】5回 【合計】15回 |
所要時間 | 約26時間 |
費用 | 【1日目】2,410円(18きっぷ1日分)+1,000円(グリーン車)+1,500円(食費)+3,900円(宿泊費) 【2日目】2,410円(18きっぷ1日分)+1,400円(食費) 【合計】12,620円 |
仙台駅から出雲市駅までの所要時間は、今回の旅程だと約26時間。
時間を切り詰めても1日以上はかかるため、もう少し余裕を持った旅程を組むことも可能です。
ただいずれにせよ、乗りっぱなしの状況に慣れていないとハードでしょう。
とは言え、おそらくこれが最も安い移動手段。
なんてったって移動費は5,000円以下ですから。
筆者としてはとにかく色んな地方の車両に乗りまくりたかったので、超大満足の旅となりました。
青春18きっぷで仙台~東京~出雲市まで行く際の注意点
仙台~東京は主に2つのルート
青春18きっぷを利用して仙台から東京までアクセスするには、主に2つのルートがあります。
ひとつが福島県の中心部、栃木県を経由する東北本線ルート。
そしてもうひとつが、福島県の沿岸部、茨城県を経由する常磐線ルート。
早朝に出発するのであれば、所要時間はどちらも大差はないかと思います。
ただ事故や災害で列車に遅延・運休が発生した場合のことを考えると、新幹線が並走している東北本線ルートの方がリカバリーはしやすいかと。
お好みに合わせて選んでみてくださいね。
出雲市へのアクセスは伯備線経由がおすすめ
- 伯備線ルート 岡山から伯備線経由で山陰に向かうルート
- 山陰本線・福知山線ルート 関西から鳥取へ抜け、山陰本線を乗り継ぐルート
出雲市よりも東側の地域から在来線で向かう場合、主なルートは以上の2つ。
- 関西で新快速を使える
- 神戸・姫路・岡山などで下車できる
- 乗り継ぎ回数が少なく済む
以上のことから、筆者は伯備線ルートを使いました。
もう少し時間があれば、山陰本線をひたすら乗り継いで行きたかったんですがね。
出雲市駅から出雲大社へはバスで
出雲市駅から出雲大社までは、距離にして約10km。
歩くと2時間ほどかかります。
最も便利な移動手段は一畑バス。
出雲市駅から25分ほどで出雲大社まで行けます。
首都圏ではグリーン車を使えば快適
宇都宮駅~熱海駅間では普通列車グリーン車が運用についています。
ただでさえ長い時間鉄道に乗っているわけですし、静岡区間では特に体力を消費することでしょう。
より効率的に移動するなら、グリーン車で体力を温存しつつ、食事もしてしまうのがベター。
1,000円ほど足せば使えるので、ぜひ検討してみてください。
熱海~浜松間を快適に過ごすには?新幹線でのワープも検討しよう
- 基本的に各駅停車のため時間がかかる
- ロングシート車両にあたることが多い
- それなりに混む
- 運が悪いと車内にトイレがない
以上のことから、青春18きっぷ旅行者の中では、静岡県内(熱海~浜松間)は特に恐れられているのです。
とは言いつつも
- 在来線の乗り継ぎがいい
- すぐ横を新幹線が走ってる
ので「もう無理!!」となったら、一部区間のみ新幹線を利用する「ワープ」という手段を検討するのもアリです。
参考までに、青春18きっぷ旅行者がよく利用する新幹線区間をまとめると以下の通り。
- 三島~静岡:1,980円(特定特急券+乗車券)
- 静岡~浜松:2,330円(特定特急券+乗車券)
特定特急券とは、一部の区間で販売している特急券のこと。
東海道新幹線に関しては、特定特急券=自由席特急券と覚えておいて大丈夫です。
快適に移動できる上、うまくいけば30分~1時間ほど所要時間を短縮できることも。
時間帯が合えば利用してみるのもいいかもしれません。
また静岡だけでなく、仙台~東京間でもワープを積極的に活用すべき区間が複数あります。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
【青春18きっぷ旅行記】仙台~東京~出雲市の鈍行旅!サンライズ出雲を使わずに行くと?|まとめ
以上、今回は「【青春18きっぷ旅行記】仙台~東京~出雲市の鈍行旅!サンライズ出雲を使わずに行くと?」という内容でお届けしました。
- 在来線でとにかく遠くまで行ってみたい
- 途中下車しながらゆっくり目的地まで向かいたい
- 色んな鉄道に乗りながら仙台、出雲市を目指したい
そんなときは、青春18きっぷでの移動も検討してみてもいいでしょう。
特に「色んな鉄道に乗りたい!」という人にとっては、とてもいい体験になるかと思います。
ぜひ参考にしてみてくださいね。