青春18きっぷを利用して、常磐線で仙台駅から東京の上野駅まで行ってきました。
常磐線は、仙台から福島県の浜通り・茨城県を経由して、東京まで走る長大路線。
青春18きっぷで仙台~東京間を移動する場合、東北本線を使うのが一般的かと思います。
ですが2020年3月に常磐線が全線開通したことで、列車の接続が良くなりました。
そんな時におすすめです。
当ブログ「東北旅びより」では
- 青春18きっぷでのひとり旅を考えている
- 普通列車だけで東京~仙台間を移動してみたい
- 常磐線で東京~仙台間を乗り通してみたい
という方へ向けて
- 常磐線の青春18きっぷ旅行記ブログ
- 車窓の見どころ、かつての不通区間の現在
以上の内容をメインに紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
青春18きっぷとは?
青春18きっぷとは、JRの普通列車や快速列車、BRTが全線乗り放題になる切符です。
- バス・ラピッド・トランジット(バス高速輸送システム)の略
- バス専用道などを走ることで、路線バスよりも速達性、定時性を確保できる
JRの路線なら日本中どこへでも行けるので、鉄道を乗り継いで北海道から九州に行くことももちろん可能。
3・5日間利用が可能で、10,000~12,050円での発売です。
つまり1日あたり2,000円分ほどの移動ができれば元が取れます。
青春18きっぷの詳しい内容は、以下のページを参考にしてみてください。
【常磐線ひとり旅】青春18きっぷで仙台から東京(上野)へ!9年ぶりに復旧した不通区間の現在は?
仙台駅から原ノ町駅行きの常磐線に乗車
旅の始まりは仙台駅。
東北地方最大のターミナル駅で新幹線、在来線合わせて6路線が乗り入れています。
目的地の上野駅までは、約6時間半の旅。
思う存分に常磐線の旅を楽しんでいこうと思います。
まず乗車するのは、原ノ町駅行きの常磐線。
車両は東北でよく見かける701系。
701系の車内。
全車両ロングシートになっています。
原ノ町駅までは1時間半ほどの道のりです。
岩沼駅で東北本線と分岐し、阿武隈川を渡る常磐線。
この辺りは、快晴の日は特に眺めが良いです。
阿武隈川を渡ると、列車はもう間もなく逢隈駅に到着します。
1988年に開業した、常磐線内では比較的新しい部類の駅。
それ以前は、逢隈信号場として使われていました。
【信号場とは?】
分岐器や信号設備は設けられているが、旅客や貨物の取扱を行わない停車場のこと。
要するに、列車の行き違いだけをするための場所です。
周辺に住宅がちらほらとある中、ポツンと立つ無人駅。
通勤、通学時間帯以外は閑散としている駅ですが、近隣には国の史跡「三十三間堂官衙遺跡」があります。
逢隈駅を出発して約3分、隣の亘理駅に到着。
常磐線沿線では、亘理町は比較的大きな街のひとつに数えられます。
駅前に建っているお城の名前は、悠里館。
中には図書館、郷土資料館などが併設されています。
また亘理町は、宮城の名物グルメ「はらこめし」の発祥の地としても有名です。
浜吉田駅を出発 徐々にかつての不通区間へ
浜吉田駅を過ぎると、列車は高架橋を走り始めます。
隣の山下駅から新地駅までの約10kmの区間は、東日本大震災による津波により線路や駅舎が流出しました。
現在は震災前よりも内陸部に駅が移設され、一部の線路は高架化されています。
先頭車両からの景色。
高架橋を走っていることがよく分かるかと思います。
仙台駅から約1時間、列車は相馬駅に到着。
震災以降、仙台発の常磐線が再び当駅に入線可能になったのは、2016年12月のこと。
それまでの5年間は、仙台発の常磐線は亘理駅・浜吉田駅発着で、亘理駅~相馬駅間にて代行バスが走っていました。
- 仙台駅~亘理駅・浜吉田駅
- 相馬駅~原ノ町駅
- 広野駅~いわき駅
このように分断されていた常磐線も、今では線路1本で繋がってるんですもんね…
相馬駅を見ると当時の光景が思い浮かび、なんだか感慨深い気持ちになります。
仙台駅を出発して約1時間半、終点の原ノ町駅に到着。
原ノ町駅は南相馬市を代表する駅。
沿線では主要な地域のひとつであり、仙台発着の特急ひたち全列車が停車します。
全線開通で変わる原ノ町駅・浪江駅
原ノ町駅からは、いわき行きの常磐線に乗り換えます。
車両は首都圏でよく見かけるE531系。
北は原ノ町から、南は品川まで。大活躍の車両です。
2020年3月14日のダイヤ改正で、普通列車の輸送体系が変更となったことにより
- 仙台駅~原ノ町駅:E721系、701系で運行
- 原ノ町駅~品川駅:E531系で運行
このように、原ノ町駅で使用車両が系統分離されることになりました。
E721系
701系
こちらが仙台~原ノ町間で運行する701系とE721系で
こちらが原ノ町~品川間で運行するE531系。
震災前は、仙台発いわき行きの普通列車が何本か走っていましたが…
仙台駅からいわき駅へ向かう場合、原ノ町駅での乗り換えが必須となりました。
浪江駅~富岡駅間がまだ不通だった当時、原ノ町駅~浪江駅間では719系という車両が走ってました。
全線開通とともに常磐線からは引退し、現在はもうその姿を見ることはできません。
今はなき、常磐線719系の車内。
座席のフィット感やモーター音が心地よく、筆者が個人的に好きな車両のひとつでもありました。
平成初期に登場した古株ということもあり、719系は活躍の場を徐々に減らしていきました。
残る車両は、奥羽本線の福島~新庄で走る719系5000番台のみとなっています。
原ノ町駅を出発した常磐線は、10分ほどで小高駅に到着。
小高駅~浪江駅間の営業再開まで、当駅はしばらく終着駅としての役目を担っていました。
震災以前は一部の特急ひたちが停車していたものの、全線開通以降はすべての特急停車が通過することに。
原ノ町駅から約20分、列車は浪江駅に到着。
2017年4月から全線開通までの間、当駅は仙台方面からやってくる常磐線の終着駅として使われていました。
全線開通以前の浪江駅構内。
1番線と2番線には駅舎へ続く通路が設けられ、3番線のみを使ってる状況でした。
レトロな雰囲気が漂う、浪江駅の駅舎。
かつては有人駅でしたが、全線開通とともに無人駅になってしまったようです。
浪江駅~富岡駅間を結ぶ常磐線代行バスは、浪江駅前から発着していました。
全線開通で代行バスは役目を終え、現在は原ノ町駅~いわき駅間を線路1本で結びます。
最後の不通区間 双葉駅・大野駅・夜ノ森駅を通過
浪江駅を出発した常磐線。
浪江駅より先の双葉駅、大野駅、夜ノ森駅が常磐線の最後の不通区間でした。
この3駅は現在、駅周辺の避難指示が解除されてます。
双葉駅に到着。
全線開通に合わせて、双葉駅は新たに東西自由通路と橋上駅舎が整備されました。
また東側にあった線路は撤去され、現在は西側のホームのみを使用しています。
双葉駅を出発した常磐線。
震災前、双葉駅~大野駅間は複線化されていましたが、現在は単線に。
かつての上り線は、非常時の避難道として整備されています。
大野駅に到着。
大野駅は、福島第一原子力発電所の最寄り駅。
2021年現在、駅構内と駅前は自由に立ち入ることが可能であり、駅から周辺部に通じる主要道路も通行可能です。
双葉駅と同様に、現在は西側のホームのみを使用しています。
夜ノ森駅に到着。
夜ノ森駅の駅舎は、全線開通に合わせてリニューアルされました。
また駅内の待合室は、旧駅舎を再現したデザインになっており、駅舎内の備品を配置するなど震災遺構としての機能も備えているのだそう。
映画「Fukushima50」のラストシーン撮影地にもなった、夜ノ森の桜。
春になると、多くの人で賑わうホームがいつも印象的でした。
全線開通した2020年3月14日、特急ひたちの車窓からも街の様子を眺めていました。
改めて街を見てみると、復興はまだまだこれからという印象を受けます。
それもそのはず。
全線開通までの9年間、建物の解体工事や整備すら許されなかった場所なんですから。
9年かけてようやくスタートラインに立つことができた、双葉町と大熊町。
一歩ずつゆっくりと、前に進んでいます。
新たに生まれ変わる街の姿をこの目で見届けるとともに、地域のために何ができるのか…
微力ではあるかもしれませんが、できる限りのことをやっていきます。
富岡駅に到着。
震災による津波で駅舎が流出した当駅。
現在は震災前より北に100mほど移設し、交通広場とともに整備され復旧しました。
2018年末の富岡駅構内
現在の富岡駅構内
全線開通以前、東京方面の常磐線がやって来れるのは、当駅まででした。
現在は駅周辺、構内の工事もすっかり完了し、普通列車・特急ともに運転再開しています。
全線開通前は元スーパーひたち651系が、普通列車として富岡駅~いわき駅間で運行していました。
特急としての運転ではなかったものの、651系を再び常磐線内で見れるということで、沿線住民や鉄道ファンの間ではかなり話題になりました。
651系の車内。
特急として使われていた車両なので、とても快適。
青春18きっぷなどでも乗車できたことから、乗り得な車両としても話題になりました。
そんな651系も、常磐線の全線開通をもって引退に。
現在は、E657系が特急ひたちの新たな顔として活躍しています。
Jヴィレッジ駅に到着。
2019年4月開業の新しい駅もとい、平成の時代において最後に開業した鉄道駅です。
その名の通り、スポーツ施設「Jヴィレッジ」の最寄り駅となっています。
久ノ浜駅~四ツ倉駅間にて。
富岡駅を過ぎると、車窓からは所々で太平洋が見えます。
久ノ浜駅~四ツ倉駅間は特によく見えるので、写真を撮るならこの辺りがおすすめです。
常磐線は太平洋側を走る路線でありながら、実は海が見える区間ってそこまで多くないんです。
なので、こうして海が見える区間は貴重ですね。
仙台から約2時間半、いわき駅に到着。
いわき市は、常磐線沿線では主要地域のひとつ。
駅前には飲食店、コンビニが複数点在してますし、一息つくならおすすめです。
いわき駅から水戸駅行きの常磐線に乗り換え
いわき駅からは水戸行きの常磐線に乗り換え。
水戸駅までは約1時間半の道のりです。
いわき駅から乗車するのは、E501系という車両。
10両編成で、窓側を背にして座る「ロングシート」と呼ばれるものです。
デビューから30年近く経とうとしているE501系。
もう何度もお世話になってますが、活躍は減少傾向にありますし、後々振り返ればこの瞬間も貴重なものになってくるのかも。
湯本駅はいわき駅のひとつ隣の駅。
湯本温泉の最寄り駅でもあります。
車窓から見える太平洋。
この辺りは比較的海の近くを通るので、車窓からは太平洋が見えます。
いわき駅から約1時間半、終点の水戸駅に到着です。
水戸駅から常磐線のグリーン車を利用
首都圏の特徴のひとつとして、普通列車に併結されたグリーン車が挙げられるでしょう。
- 東海道線
- 横須賀線、総武快速線
- 宇都宮線
- 高崎線
- 湘南新宿ライン
- 上野東京ライン
- 常磐線
以上の路線にはグリーン車がついています。
グリーン車が連結されているのは、4号車と5号車。
ドア付近の葉っぱマークが目印です。
- リクライニングシート・テーブル完備
- グリーン車用トイレあり
- 車内販売あり
普通車と比べると、文字列だけでもすでに快適そうな印象。
乗車距離に応じて1,000円前後の追加料金が必要ですが、青春18きっぷや北海道&東日本パスと合わせての利用もOK。
特に鉄道旅行者の場合、長距離移動も多いでしょうから、楽できるポイントではなるべく楽しておきたいもの。
新幹線に比べれば安く抑えられますし、首都圏での移動の際はとてもおすすめです。
そして水戸駅出発から約2時間、ついに上野駅に到着。
仙台から約6時間半、楽しい道のりでした。
青春18きっぷで仙台~東京を移動する場合、東北本線を使うのが一般的。
ですが全線開通したことで、常磐線も接続が良くなりましたし、一味違ったルートを試したい時はおすすめです。
【常磐線ひとり旅】青春18きっぷで仙台から東京(上野)へ!9年ぶりに復旧した不通区間の現在は?|まとめ
以上、今回は「【常磐線ひとり旅】青春18きっぷで仙台から東京(上野)へ!9年ぶりに復旧した不通区間の現在は?」という内容でお届けしました。
青春18きっぷで仙台~東京を移動する場合、東北本線を使うのが一般的。
ですが全線開通したことで、常磐線も接続が良くなりましたし、一味違ったルートを試したい時はおすすめです。