前谷地駅~気仙沼駅を結ぶ路線、気仙沼線・気仙沼線BRTに乗車してきました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響で
- 前谷地駅~柳津駅間:鉄道
- 柳津駅~気仙沼駅間:BRT(バス)
気仙沼線は、以上のような運行形態となりました。
あれから間もなく10年、周辺はどのように変化したのでしょうか?
今回は沿線を観光しつつ、当時の様子を振り返っていきたいと思います。
ということで当ブログ「東北旅びより」では、以下の内容を紹介していきます。
- 気仙沼線・気仙沼線BRTの観光レポート
- 気仙沼線BRTの乗り方や、おすすめ切符など
ぜひ参考にしてみてくださいね。
気仙沼線BRTとは?
- バス・ラピッド・トランジット(バス高速輸送システム)の略
- バス専用道などを走ることで、路線バスよりも速達性、定時性を確保できる
- 現在、JRが運営するBRTは気仙沼線BRT、大船渡線BRTの2つ
気仙沼線BRTは、前谷地駅・柳津駅~気仙沼駅を結ぶ路線。
2012年8月から運行開始しました。
2011年3月に発生した東日本大震災で、壊滅的な被害を受けた気仙沼線と大船渡線。
沿線のほとんどの駅舎や線路などが、津波で流されてしまいました。
一時は鉄道での復旧も考えられたものの
- 元から乗車人員が少ない区間であること
- 莫大な復旧費用がかかること
これらの観点から、鉄道でなくBRTで復旧させることに。
- 気仙沼線:前谷地~柳津はBRT、柳津~気仙沼は鉄道
- 大船渡線:一ノ関~気仙沼は鉄道、気仙沼~盛はBRT
現在は、以上のような運行形態をとっています。
基本的に、元は線路だった敷地を専用道路として整備して運行しています。
ただ中には一般道路を走る区間もあり、路線バスとしての役割も担っているのが特徴です。
沿線住民の利用状況に合わせて動けるフットワークの軽さは、BRTならではですね。
ちなみに気仙沼線BRT、大船渡線BRTは、青春18きっぷや北海道&東日本パスでも乗車可能。
見た目が完全にバスなので「本当に乗って良いの!?」と思ってしまいがちですが、ご安心を。
【気仙沼線BRT 旅行記ブログ】震災から10年、現在の様子は?沿線を観光しつつ当時を振り返る
前谷地駅~柳津駅は鉄道区間を進む
旅の始まりは宮城県石巻市、前谷地駅。
石巻線、気仙沼線、気仙沼線BRTの3路線が乗り入れています。
前谷地駅の3番線ホームに停車中の気仙沼線。
気仙沼線の起点となる駅は、ここ前谷地駅です。
- 小牛田駅か石巻駅から石巻線に乗って、前谷地駅で下車
- 小牛田駅から気仙沼線に乗車
気仙沼線に乗車する場合、以上の2パターンのアクセス方法があります。
小牛田駅発の気仙沼線は本数がかなり少ないので、石巻線を利用する方法がおすすめです。
前谷地駅発の気仙沼線は、鉄道とBRTの2つがあります。
BRTの場合、前谷地駅~柳津駅間の途中駅には止まらないのでご注意を!
前谷地駅を出発した気仙沼線。
石巻線と分岐し、柳津方面へ進みます。
前谷地駅~柳津駅間は内陸部を進むため、車窓は辺り一面田んぼ。
柳津駅の到着前に北上川を渡るくらいで、気仙沼線の車窓は基本的に田園風景が続きます。
陸前豊里駅に停車。
前谷地駅~柳津駅間では唯一、列車交換が可能な駅です。
陸前豊里駅からは宮城県登米市に入ります。
前谷地駅から約30分、気仙沼線は終点の柳津駅に到着。
鉄道が続いているのは当駅まで。
そのため隣駅の陸前横山駅の名前は、白く塗りつぶされています。
2017年時点と現在の柳津駅の姿を並べてみました。
現在、2番線と気仙沼方面への線路は完全に撤去されています。
2番線ホームには柵が設置され、現在は1番線ホームのみを使っている状況です。
余談ですが、柳津駅~本吉駅間が開業する1968年から1977年までの間、当駅は柳津線の終着駅としての役目を担っていました。
それがまさか、震災によって再び終着駅に戻ってしまうことになるだなんて…残酷なものです。
柳津駅の駅舎内には「ゆうキャビン」という観光物産館が併設。
もちろん窓口で乗車券などもちゃんと買えます。
かつて気仙沼線BRTの柳津駅があった場所は、駐車場になっていました。
こちらが現在の気仙沼線BRTの柳津駅。
鉄道からBRTに乗り換える場合、以前までは一度駅の外に出なければいけなかったんです。
現在は駅構内で乗り換えできるようになっているので、利便性は向上したように思います。
柳津駅からBRT区間へ
真っ赤なボディが特徴的な気仙沼線BRT。
終点の気仙沼までお世話になります。
気仙沼線BRTの車内。
完っっ全に普通のバスです。
しかし、これでもJRが運営する路線のひとつ。
青春18きっぷや北海道&東日本パスでも乗車できます。
- 後ろのドアから乗車し、整理券を取る
- 降車したい駅が近づいたら、降車ボタンを押す(ボタンを押さないと通過してしまうので注意!)
- 降車時に運賃を支払う(青春18きっぷなどのフリーパスは、降車時に運転士に見せる)
- 前のドアから降りる
乗り方は一般的なバスと何ら変わりないですね。
2017年に気仙沼線BRTに乗車した際は、確か付いていなかったように思います。
全車両なのか、一部車両なのかは不明ですが、いずれにせよありがたいです。
柳津駅を出発した気仙沼線BRT。
この時は柳津駅~陸前横山駅間での自動運転実験のためか、一般道路を走行していました。
路肩に残る雪。もう暦では春のはずなのに。東北の冬は長いです。
気仙沼線BRTは、しばらく国道45号線を進んでいきます。
この数年で、沿岸部では巨大な防波堤が目立つようになりました。
かつての景観が損なわれてしまうのは残念ですが、これも人命を守るためなのであれば、仕方ないのかもしれません。
気仙沼線BRTの車窓から見える志津川湾。
天気がいいので、海の透明度がより際立って見えます。
志津川湾のように、三陸沿岸は地図で見るとノコギリのようなギザギザした形が特徴的。
この特殊な地形が、豊富な海産物という恩恵をもたらしてくれました。
しかし一方で、このノコギリのような形が、津波の被害が大きくなったひとつの原因だとも言われているんです。
現に志津川湾周辺を襲った津波の高さは、約20メートル。想像を絶する高さです。
震災遺構である高野会館も、志津川湾沿いにあります。
高野会館は、志津川湾から約300メートルの平地に立つ、南三陸町の数少ない結婚式場でした。
震災当時は、300人以上が屋上に避難して助かったのだそう。
海沿いであるにも関わらず、これだけ多くの尊い命が救われた…これも現場スタッフの迅速な決断力と行動力があったからこそなんだと思います。
柳津駅から約30分、気仙沼線BRTは志津川駅に到着。
かつては旧志津川駅の跡地に、BRTの志津川駅がありました。
2017年に「南三陸さんさん商店街」が移転してからは、それに合わせて駅も現在の場所へ。
このように駅の移動、新設が鉄道よりも容易なのは、BRTのメリットでもあるでしょう。
歌津駅で途中下車して南三陸ハマーレ歌津へ
柳津駅から50分、気仙沼線BRTは歌津駅に到着。
歌津駅で途中下車し、少し周辺を観光してみようかと思います。
本日の第一の目的地、南三陸ハマーレ歌津。
歌津駅から徒歩2分という、超好立地にある商業施設です。
丸荒ホワイトシップにやってきました。
鮮魚店なんですが、最近ではスイーツの販売もやっているという、とても面白いお店です。
南三陸ハマーレ歌津に激ウマスイーツ登場!丸荒ホワイトシップチーズイン https://t.co/8Hjuti6ezR pic.twitter.com/4Ojwa1WqU4
— 南三陸ハマーレ歌津 (@hamare_utatsu) May 4, 2017
目的は、丸荒ホワイトシップで販売している「チーズインバウム」というバームクーヘン。
サンドウィッチマンの伊達さんが某バラエティ番組で紹介していたことから、爆発的に有名になったお菓子です。
オンラインショップで買っても良かったんですが、やっぱりどうせなら現地で買って食べたいじゃないですか。
朝方なら空いてるだろうし、ささっと買って家でゆっくり食べようかなって思ってたんですよ、本当は。
そしたらこれですもん。つらい。つらすぎる。
朝方なので、施設内のお店はどこも開店前。
仕方ないので、唯一開いてた商店でクリームサンドを入手。
実はこっちも気仙沼のソウルフードとして有名なんです。
これはこれでずっと気になってたので、せっかくの機会ということで買ってみました。
さっそく開封。
第一印象は、昔ながらのコッペパンという感じ。
しっとりとした生地に、濃いピーナッツクリームがめちゃくちゃ合います。
仙台ではなかなか見かけない(しかも仙台よりも安く買えることが多い)ですし、旅の思い出に買って行くのもいいんじゃないでしょうか。
BRT専用道路の各所で廃線跡も
BRTの車窓から。こうして見ると鉄道時代の名残もちゃんとあるんだよね。 pic.twitter.com/iQ55nO7747
— なか@東北旅びより (@naka_travel) March 2, 2021
歌津駅から再び気仙沼線BRTに乗車する筆者。
BRTの専用道路をひたすら進みます。
専用道路では、バス1本分の幅の狭い道路を、40kmほどのスピードで進んでいく感じです。
単線の道路をゆっくりと進む感じが、鉄道時代の気動車の走りを彷彿とさせます。
本吉駅にて。
気仙沼線時代に使われていたと思われる、ホーム跡がありました。
本吉駅からは、再び一般道路に入ります。
大谷海岸駅付近にて。
鉄道時代は、この辺は海沿いを進む絶景区間でもありました。
しかし防波堤の整備とともに、かつての鉄道跡も消滅する見込みとのこと。
2017年時点と、現在の大谷海岸駅を並べてみました。
以前は簡易的なバス停と待合室が建っているだけでしたが、ものすごく立派な駅舎が建っていて驚きました。
気仙沼線時代は「日本一海水浴場に近い駅」として賑わった、大谷海岸駅。
もう一度、かつての景色を取り戻すために立ち上がろうとしている力強さを感じました。
大谷海岸駅を過ぎてしばらくすると、気仙沼線BRTは再び専用道路に入ります。
南気仙沼駅に到着。
以前は、南気仙沼駅はバイパス沿いに簡易的な案内表だけが立つ小さな駅でした。(駅というか、もはやバス停と表現した方が正しかったような)
現在は専用道路が整備され、周辺には住宅街もできていました。
鉄路は断たれたものの、BRTに転換したことで本数が増え、利便性も向上したように思います。
将来的には沿線のほとんどをBRT専用道路として整備するとのことですし、これからも街の方々に愛される路線であってほしいと願うばかりです。
気仙沼駅に到着
柳津駅から約2時間、終点の気仙沼駅に到着しました。
気仙沼駅は、道路と線路が同一ホーム内にある少し変わった駅。
元は線路だった敷地を道路として整備しているので、このような形になっているわけですね。
乗り換えや乗降などは何ら不便なくできました。
不動の沢駅に移動してランチのつもりが…?
折り返しの気仙沼線BRTに乗車し、隣駅の不動の沢駅に移動してきました。
こちらが第二の目的地、北かつまぐろ屋。
気仙沼名物の「かまトロステーキ」を食べれるお店として有名です。
ピークの時間帯は過ぎてるし、いくら人気店と言えどもまあ大丈夫だろうと思ったんですよ。
ずっと行きたかったお店その2、めちゃくちゃ混んでて入れそうになかったよ。仕方ないから炭酸水で我慢するよ。二酸化炭素が染みる。泣きそう。 pic.twitter.com/WAlHSZN4UI
— なか@東北旅びより (@naka_travel) February 28, 2021
そしたら、これですもん。つらい。さすが人気店。甘かった。
この後の予定もあったので、仕方ないですし別の機会ということにしますか…
気仙沼駅に戻り、大船渡線BRTでさらに北を目指します。
やっぱりね、気仙沼来たらこれ食べなきゃいかんのよ。#かまトロステーキ #圧倒的飯テロ pic.twitter.com/7YcFggkKJM
— なか@東北旅びより (@naka_travel) February 28, 2021
あ、ちなみに夜にもう一度行ったら、なんと入れちゃいました。
諦めなかった甲斐があった…
気仙沼線BRTの乗車におすすめの切符
青春18きっぷ
料金 | 12,050円 (大人、子ども同額) |
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有効期間 | 5日間 |
関連記事 | 青春18きっぷ攻略ガイド|使い方から裏技まで徹底解説 |
青春18きっぷとは、JRの普通列車や快速列車、BRTなどが3・5日間乗り放題になる切符。
青春18きっぷといえばフリー切符の王道ですね。
JRの路線なら日本中どこでも行けるので、鉄道を乗り継いで北海道から九州へ行くことだってもちろん可能。
12,050円で発売されているので、1日あたり2,410円分使えば元を取れる計算です。
北海道&東日本パス
料金 | 大人:11,330円 子ども:5,660円 |
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有効期間 | 連続した7日間 |
関連記事 | 【初心者向け】北海道&東日本パス|使い方・買い方を解説 |
北海道&東日本パスはJR東日本、JR北海道の普通列車とBRTが、1週間乗り放題になる切符。
北海道東日本パス、北東パスと略されることも多いですね。
11,330円で発売されているので、1日あたり約1,620円という計算になります。
北海道&東日本パスの最大のメリットは、青い森鉄道とIGRいわて銀河鉄道に乗り放題となる点。
青春18きっぷだと、IGRいわて銀河鉄道には乗れませんし、青い森鉄道も区間に制限があります。
小さな旅ホリデー・パス
料金 | 大人:2,720円 子ども:1,350円 |
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有効期間 | 1日間 |
関連記事 | 小さな旅ホリデーパスの使い方【初心者向け】|旅行記も合わせて紹介 |
小さな旅ホリデー・パスは、南東北で販売されているフリー切符。
基本的には土日祝日のみ利用できますが、以下の期間であれば平日でも使えます。
- 4月29日~5月5日
- 7月20日~8月31日
- 12月23日~1月7日
小さな旅ホリデー・パスの最大の魅力は、南東北のほとんどのJR線が1日乗り放題になるところ。
世界遺産の平泉や会津若松、仙台での観光など、用途に合わせて使えます。
【口コミ・評判】気仙沼線BRTに乗車した人のツイッターでの反応は?
BRT気仙沼線の陸前階上駅。
BRTに乗るのは2回目です。線路を撤去して舗装し、バス専用ルートとしています。
とは言え全線整備されているわけではなく、一部では一般道を走ります。
元々単線で幅の狭い専用車路やトンネル、運転怖くないのかな?#気仙沼線 #BRT pic.twitter.com/eMmbn9jPof— FUNKふじやま 横浜FCとともに! (@funkfujiyama7_8) August 8, 2020
【乗車BRT】
気仙沼線 BRT 前谷地12:40→気仙沼14:59
大船渡線 快速BRT 気仙沼15:10→盛16:24バスと言えども、半分は鉄道のトンネルや線路跡を通るので、ちょっとした乗り鉄気分です🎵 pic.twitter.com/ZOZiNPdsdb
— ユーロビート!(18きっぷ) (@eurobeat_18kip) November 21, 2020
【気仙沼線BRT 旅行記ブログ】震災から10年、現在の様子は?沿線を観光しつつ当時を振り返る|まとめ
以上、今回は「【気仙沼線BRT 旅行記ブログ】震災から10年、現在の様子は?沿線を観光しつつ当時を振り返る」という内容でお届けしました。
東日本大震災から間もなく10年。
沿岸部の風景は徐々に変わりつつあります。
鉄路は断たれたものの、BRTに転換したことで本数が増え、利便性も向上したように思います。
これからも沿線住民の方々に愛される路線であってほしいと願うばかりです。
青春18きっぷや北海道&東日本パスでも乗車できますし、機会があればぜひお立ち寄りください。