大雨による被害で運休している津軽線の蟹田駅~三厩駅間が、近い将来廃止となることがほぼ確定しました。
2022年8月の豪雨被害により、長らく区間運休となっていた津軽線。
蟹田駅~三厩駅間の存廃を巡り議論が続いていましたが、2024年5月23日の首長協議にて、唯一鉄道での復旧を望んでいた今別町がこれを断念。
事実上の廃線がほぼ確定しました。
今後はバス・タクシーへ転換していくとのこと。
覚悟はしてましたが、いざ現実としてこうなってくると心にくるものがあります。
当ブログ「東北旅びより」では、以下の内容を紹介していきます。
- 津軽線の簡単な紹介
- 蟹田~三厩の区間廃止に関する具体的な内容
- 現状の蟹田~三厩の代行輸送・代替交通は?
- 代行バス・わんタクについて簡単に紹介
- 青春18きっぷ北海道新幹線オプション券は今後どうなる?
ぜひ参考にしてみてくださいね。
津軽線とはどんな路線?簡単におさらい
701系
GV-E400系
津軽線は、青森県の青森駅~三厩駅間の約56kmを結ぶ路線。
- 青森駅~蟹田駅 701系電車での運行
- 蟹田駅~三厩駅 GV-E400系気動車での運行
以上のような運行体系をとっています。
秘境感漂う沿線風景から、巷では「最果てのローカル線」と呼ばれることも。
厳密に言うと、最果てのローカル線は津軽線ではなく、同県を走る大湊線なのですが…
(本州最北端の駅である下北駅が沿線内にあるため)
津軽線の方があまりにも最果て感満載なので、このように言われているのだとか。
新海はTwitterで「学生時代に何度かひとり旅をして、東北、青森は静かで美しい場所だなあと思っていたんです」「ヒロキたちが使っている津軽線沿いの駅は実在のものです」と述べている。
引用:Wikipedia
「すずめの戸締まり」「天気の子」などを手掛けたアニメーター、新海誠監督の作品のモデルにもなった津軽線。
「雲のむこう、約束の場所」という作品内で、沿線の風景が使われています。
アマゾンヘビーユーザーの筆者、この事実を知り3回ほどプライムビデオで拝見しました。
本当に沿線風景の描写がリアルで、さすが新海誠作品だなあと。
個人的に推してる青森の津軽線。
車窓はもちろん、沿線から漂う最果て感がまじでたまらん…
秘境ローカル線の旅を楽しみたい人には超ぴったりの路線だと思う🥰 pic.twitter.com/BZpRrQMC16
— なか@東北旅びより (@naka_travel) June 10, 2021
車窓から見える広大な陸奥湾。
沿線には心打たれる日本の原風景が多く、まさにローカル線の旅のイメージにピッタリな路線だと感じます。
津軽線 蟹田~三厩が廃線・バス転換へ…廃止日は2027年度春予定
2022年の大雨で被災し、運休が続く青森県のJR津軽線蟹田―三厩間(28.8キロ)を巡り、沿線自治体で唯一廃線に反対していた今別町の阿部義治町長は23日、鉄道復旧を断念する意向を表明した。JR東日本が提案しているバス転換の協議に応じる方針。沿線自治体の足並みがそろったことで、津軽線の廃止に向けた議論が加速する公算が大きくなった。
2022年8月の豪雨被害により、長らく運休となっていた津軽線の蟹田駅~三厩駅間。
- 赤字ローカル線であること
- 運休区間だけでも復旧に6億円はかかること
- 中小国~三厩の利用者数がここ30年ほどで約70%減少したこと
以上の理由から、この区間の存廃を巡り議論が続いていました。
しかし2024年5月23日の首長協議にて、唯一鉄道での復旧を望んでいた今別町が苦渋の決定としてこれを断念。
事実上の廃線がほぼ確定しました。
今後はバス・タクシーへ転換していくとのこと。
「新幹線の乗換駅である津軽二股まで残る可能性もゼロではないのでは…?」と超絶うっすら期待してましたが、それも叶わず。
- 大平駅~津軽二股駅間の被害が特に大きいこと
- 利用者の大幅な減少
- 沿線人口や採算の問題
これらを踏まえると、鉄路復旧断念となるのも仕方ないのかもしれません。
奥津軽いまべつ駅は、これで正真正銘の新幹線単独駅となってしまうわけですね。
不幸中の幸いとでも言うべきか、蟹田駅~新中小国信号場の区間が被災せず、本州~北海道の貨物輸送が途切れなかったのは良かったのかと。
JR東日本は5日、津軽線・蟹田-三厩間(青森県外ケ浜町と今別町)の鉄路廃止時期について、2027年度春を目標に手続きを進めていると明らかにした。
なお津軽線の蟹田駅~三厩駅間の具体的な廃止日はまだ決まっていません。
ただ、2027年度春を目標に手続きを進めているとのこと。
代替交通の整備なども合わせて進める必要があるはずですし、やはりしばらく先になるよう。
まだ3~4年先の話にはなりますが、沿線を巡るなら今のうちにしておいた方がいいかもしれませんね。
廃線が近づくにつれ人も多くなってくるでしょうから。
【代行バス・わんタク】蟹田~三厩の運行状況はどうなっている?現状の代行輸送・代替交通まとめ
- 津軽線代行バス
→蟹田~三厩間で1日3往復運行中 - デマンドタクシー「わんタク定時便」
→蟹田~龍飛崎灯台間で1日4往復運行中 - デマンドタクシー「わんタクフリー便」
→9:00~17:00の間で使える定時便のフリー版
現在のアクセス手段を簡単にまとめると、以上の通り。
代行バスは鉄道と変わらないルートを走行しますが、オンデマンド交通「わんタク」は特に観光客には便利なサービス。
津軽線の駅に加え、ホテル竜飛や龍飛崎灯台なども経由します。
自動車は鉄道より小回りが利く分、状況に応じて様々な場所を経由しやすいのが魅力的。
特に三厩駅が町の中心部から離れているため、よりその恩恵は大きいでしょう。
便利な交通機関が整備されているということは、観光客はもちろん、地域住民にとっても重要であるはず。
どうか末永く愛される交通機関であってほしいですね。
公式サイト乗合タクシーわんタク
【青春18きっぷ特例】北海道新幹線オプション券は廃止?本州~北海道の移動は今後どうなる?
「青春18きっぷ」利用者が、北海道新幹線の「奥津軽いまべつ~木古内」間、及び道南いさりび鉄道の「木古内~五稜郭」間を、1枚につきおひとり片道1回利用できるオプション券です。有効な「青春18きっぷ」を併用している方のみご利用になれます。
引用:青春18きっぷ北海道新幹線オプション券(普通車用)|JR東海
- 北海道新幹線 奥津軽いまべつ駅~木古内駅
- 道南いさりび鉄道 木古内駅~五稜郭駅
以上の区間が片道2,490円で利用できる、青春18きっぷ北海道新幹線オプション券。
奥津軽いまべつ駅の最寄り駅である津軽二股駅までの鉄路が遮断される上、言ってしまえば、住民の足としてもさほど重要でない切符です。
蟹田駅~三厩駅間の廃線に伴い、オプション券も廃止となる可能性もゼロではないはず。
今後の動向として、考えられるパターンは以下のような感じでしょうか。
- 廃線に伴いオプション券も取り扱い終了
- オプション券を値上げし、区間を新青森~木古内にする
- 北海道&東日本パスと同様、特定特急券で新青森~新函館北斗間で乗れるようにする
- 転換後の交通機関に青春18きっぷで乗れるようにする
- 青春18きっぷ提示で転換後の交通機関が割引料金で利用できる
いずれにせよ、何かしらの代替案はあるのではないかと。
今後も引き続き注目していきたいところです。
バス転換を提案したJR東日本は今年2月、転換後にNPO法人を設立し、既存の町営バスと一体で長期間運行することで地域交通を維持する、との異例の案を示していた。
引用:産経ニュース
バス転換後もJRが関わってくれるのであれば、奥津軽いまべつ駅での新幹線接続の改善も少しは期待できそうですね。
それだけでも今より需要は増えそうな気がします。
ここだけの話、オプション券での乗り継ぎはお世辞にも良いとは言えないので。
「本州~北海道の移動手段」にあるように、実際は特例以外の手段で移動する人の方が多い印象。
オプション券利用時よりも接続が良く、それでいて比較的リーズナブルですから。
ともなると、果たしてオプション券はどうなるのか…
これは青森だけじゃなく北海道にも少なからず関わる問題ですし、引き続き動向に注目していきたいですね。
北海道新幹線オプション券は、2024年冬版から以下の区間で利用可能になります。
- 北海道新幹線 新青森~木古内
- 道南いさりび鉄道 木古内~五稜郭
詳しい料金などは「【初心者必読】ルール変更!青春18きっぷの買い方・値段・期間などを紹介」をご覧ください。
【廃止ほぼ確定】津軽線 蟹田~三厩が廃線・バス転換へ…今後はどうなる?|まとめ
以上、今回は「【廃止ほぼ確定】津軽線 蟹田~三厩が廃線・バス転換へ…今後はどうなる?」という内容でお届けしました。
ついに廃止がほぼ確定してしまった、津軽線の蟹田駅~三厩駅間。
ただ正直、たまたま災害がきっかけになっただけの話であって、遅かれ早かれこうなっていたのではないでしょうか。
交通機関は沿線住民のためにあるものであってほしいし、自動車の方がより利便性があるというなら、それがいいでしょう。
住民が生活しやすい形であるのが一番ですから。
それに転換後のバス・タクシーが上手くいけば、モデルケースとして他の地域に応用できるかもしれません。
しかしやはり、大好きな路線、大好きな区間だっただけに寂しい気持ちはぬぐえません。
今も大泣きしたい気持ちを必死に抑えつつこれを書いています。
できるならもう一度乗りたかった。
でも時代が移り変わるって、こういうことなんでしょうね。
今後の動向に注目しつつ、新たに生まれ変わっていく沿線の姿を見届けていきたいと思います。