えちごトキめき鉄道で運行する、国鉄形観光急行の乗車記をお届けします。
昔懐かしい国鉄型電車「455系・413系」で運行する、トキ鉄の観光急行。
旅行者目線で言えば、昔懐かしい昭和の旅路気分を味わえる列車。
そしてマニア目線で言えば、現役で活躍する最後の国鉄急行形の交直両用電車。
その貴重な列車に毎週乗れるチャンスがある。
よくよく考えれば、これってかなりすごいこと。
急行料金もお手頃ですし、青春18きっぷ旅行がてらフリーパスなどで乗車するのもアリです。
当ブログ「東北旅びより」では、以下の内容を紹介していきます。
- えちごトキめき鉄道の観光急行455系・413系とは?
- 国鉄形観光急行 普通列車の旅行記(直江津駅~妙高高原駅)
- 【乗り方ガイド】観光急行の料金・運転日・時刻表・停車駅・予約方法・切符の買い方
ぜひ参考にしてみてくださいね。
えちごトキめき鉄道とは?【妙高はねうまライン・日本海ひすいライン】


えちごトキめき鉄道は、北陸新幹線の金沢延伸開業に伴い、JR線でなくなった区間を引き継いだ第三セクター方式の鉄道事業者。
「トキてつ」や「トキ鉄」の愛称で親しまれています。
- 妙高はねうまライン(旧信越本線) 妙高高原駅~直江津駅
- 日本海ひすいライン(旧北陸本線) 直江津駅~市振駅
えちごトキめき鉄道の運行する路線は、以上の通り。
旧信越本線の妙高高原駅~直江津駅を結ぶ、妙高はねうまライン。
全区間、基本的に2~4両編成の電車での運行がほとんど。
ラッシュ時には6両で走ることもあります。
上越市・妙高市の中心部に近いエリアを走るため、学生利用者も多いです。
対して日本海ひすいラインは、基本的に1両編成の気動車での運行。
電化区間でありながらディーゼル車が走る面白い路線でもあります。
- えちご押上ひすい海岸駅~梶屋敷駅間を境に、電化方式が切り替わるため
- 輸送密度が低く、交流・直流両対応の列車を導入するにはコストがかかるため
山の妙高はねうまラインと、海の日本海ひすいライン。
どちらも全く異なった魅力があり、乗り鉄しがいのある路線です。
そのえちごトキめき鉄道で運行する列車が、国鉄形観光急行。
- 現役最後の国鉄急行形交直両用電車455系
- 近交形交直両用電車413系
そんな昔懐かしい貴重な車両で運行する観光列車。
土休日と一部の平日に活躍しています。
基本的には急行列車としての運転ですが、時間帯によっては普通列車として走ることも。
今回は普通列車として運行する、観光急行に乗車してきました。
【観光急行 乗車記】413系・455系普通列車|トキ鉄の現役最後となった国鉄急行形車両
直江津駅から観光急行の普通列車に乗車
旅のスタートは新潟県上越市の主要駅、直江津駅。


JR信越本線のほか、えちごトキめき鉄道の妙高はねうまライン・日本海ひすいライン、北越急行ほくほく線が乗り入れる直江津駅。
普通列車のほか、かつては数々の特急・寝台列車で賑わいました。
当時はJR東日本・JR西日本の境界でもあったことから、トワイライトエクスプレスも停車したそう。
現在の普通列車が停まるには、あまりにも長すぎるホーム。
この光景が歴史を物語ってくれています。
現在もターミナル駅としての役割は健在のようですね。
おそらく観光急行のものでしょうか。
釣り下げ式のレトロな乗車口案内もありました。
ほどなくして直江津駅ホームに観光急行が入線。
観光急行の運行日限定で、朝の1往復のみ妙高はねうまラインの普通列車にも急行車両が使われます。


普通列車での運行ですが、ヘッドマークなどはしっかり準備万端。
「急行」と表示された行先幕はステッカーですので、普通列車でも急行幕での運転となります。
重厚感のあるフォルムや、床下に響く機器音から感じられるベテラン感がたまりません。
松任工場、日本国有鉄道、昭和46年。
とても令和とは思えない文字列。
1971年に誕生し、1986年に改造されてからすでに50年以上活躍している1号車。
乗れること自体が極めて貴重な体験です。
顔はほぼ一緒ですが、2・3号車は違う車両を連結しています。
2・3号車は実質60年以上活躍する、大御所中の大御所。
先日実施されたクラウドファンディングで多くの支援があったこともあり、約3ヵ月ぶりに再びこの地に舞い戻ることができた観光急行。
皆様方のお力をお貸しいただくことで、検査を通し、向こう8年程度延命させることが可能となります。この車両を未来に向けて走らせるため、皆様方のご支援とご協力をよろしくお願いいたします。
古い列車ですし「いつまで413系、455系の姿を拝めるんだろうか?」と頭の隅で引退の文字がチラついてしまいます。
ただプロジェクトの本文を見るに、何事もなければひとまず2032年前後までは走れる状態になっているようですね。
すっかり勘違いしてたけど今昭和99年だったわ pic.twitter.com/gtcpKUu9Mq
— なか@東北旅びより (@naka_travel) July 2, 2024
手動でドアを開閉する方式も、昔の車両ならでは。
もはや動作のひとつひとつがアトラクションのようです。
観光急行の車両・車内


1号車に使われる「クハ455-701」は、実際に急行として活躍した455系と呼ばれるもの。
JR七尾線での運行終了後、えちごトキめき鉄道が購入しました。
かつては日本中で親しまれた車両も、もう現役なのは国内でこの1両のみ。
急行らしい片開きドアが特徴的です。
イベント列車らしくテーブルを設置。
ボックスシートは片側2名分のスペースがテーブルになっています。
これぞ急行列車の証、洗面台。
もちろん水もしっかり出ます。


- 2号車 モハ412-6
- 3号車 クモハ413-6
1号車と違い、2・3号車は413系と呼ばれる通勤や通学に比較的特化した普通列車向きのもの。
東北出身の筆者としては、馴染みのあるタイプの車両でもあります。
ボックスシート、ロングシートが並んだ車内。
青のモケットがいい雰囲気を醸し出しています。
昔懐かしい掲示物の数々。
灰皿があったと思われる場所。
現在は撤去されビス止めされています。
直江津駅に停車中の観光急行 pic.twitter.com/NvTXS1uI3o
— 東北旅びより@東北の一人旅メディア (@tohoku_travel) July 2, 2024
国鉄の車両といえばこの音のイメージが個人的に強いです。
えちごトキめき鉄道 妙高はねうまラインの車窓
定刻通りに直江津駅を出発。
旧北陸本線の日本海ひすいラインと分岐し、旧信越本線である妙高はねうまラインの区間を進みます。
土日ではあったもののそこまで混雑しているわけでもなく、窓側がほどよく埋まるくらい。
きっと数年後には、この空き具合も嘘みたいな出来事になってしまうんでしょうね。
春日山駅の接近メロディー、村の鍛冶屋(旧音源)
これ流れる駅が事実上もうここだけ?らしくせっかくだし撮っておくことに。
元JR東日本管轄なのに少し西日本っぽさを感じられる面白い駅だった。 pic.twitter.com/DPGk62ejci
— なか@東北旅びより (@naka_travel) June 30, 2024
ひとつ隣の春日山駅に到着。
接近メロディー「村の鍛冶屋(旧音源)」が印象的な駅。
どうやら全国で残っているのは事実上この駅のみのようです。
個人的にこういった接近メロディーは西日本のイメージが強いだけに、元JR東日本エリアで聞けるのが不思議な感覚。
北陸新幹線の乗換駅、上越妙高駅。
こちらで十数名の乗客を乗せ、引き続き妙高高原駅方面へ。
新井駅では、旧国鉄時代のシンボルカラーのひとつとして親しまれた「スカ色(横須賀線色)」のET127系に遭遇。
直江津駅~新井駅間は上越市・妙高市の中心部に近いエリアを走ります。
そのためお客さんの乗降はそれなりに多く、道中も平坦であるところがほとんど。
しかし新井駅を過ぎると、その車窓は一変。
列車は徐々に山深い区間へと進んでいきます。
今もスイッチバック方式が残る二本木駅
二本木駅でのスイッチバック pic.twitter.com/HPe9F76Mrv
— 東北旅びより@東北の一人旅メディア (@tohoku_travel) June 30, 2024
列車は二本木駅に到着。
二本木駅は新潟県内の鉄道駅として唯一、スイッチバック式のホームが残る駅です。
時代とともにスイッチバックを採用する駅も減少していますし、これはこれで貴重な体験。
妙高高原駅から直江津行きの観光急行に乗車
直江津駅から約1時間、終点の妙高高原駅に到着。
妙高高原駅は妙高はねうまラインの終点駅。
隣の黒姫駅からは長野県、しなの鉄道のエリアです。
高原リゾート地、妙高高原の玄関口である妙高高原駅。
直江津に比べ少し肌寒いと思ったら、標高は510m。
ホームも味が出ていて、本当にタイムスリップしたかのような気分。
折り返しとなる直江津行きの普通列車に乗車。
直江津行きは急行型の1号車が一番後ろになります。
終点の直江津駅に到着
妙高高原駅から約1時間、列車は直江津駅に到着。
山間部を走る普通列車としての運行は1往復で終了。
これより急行列車(一部は普通列車)として、沿岸部を2往復する形となります。
急行も乗りたかったところですが、時間の関係で残念ながら今回は乗車できず…
昔懐かしい国鉄形電車で運行される、えちごトキめき鉄道の観光急行。
世代ドンピシャの人も、その時代を知らない人も楽しめる魅力があると感じました。
「絶滅危惧種の貴重な列車に毎週乗れるチャンスがある」
これは非常に素晴らしいことだと思います。
【乗り方ガイド】観光急行の料金・運転日・時刻表・停車駅・予約方法・切符の買い方
料金
乗車券・運賃 | 直江津~市振:1,310円 |
---|---|
急行券 | 大人:500円 |
子ども:250円 |
青春18きっぷ利用者は、トキ鉄18きっぷを追加購入するのがおすすめ。
1,000円でえちごトキめき鉄道全線が乗り放題になります。
直江津駅から市振駅までの片道利用だけでも元が取れるのが地味にポイント。
※当日有効の青春18きっぷ持参者のみ購入可能です
※青春18きっぷ単体では、えちごトキめき鉄道線に乗れません
運転日
観光急行列車の運行日は主に土休日。
えちごトキめき鉄道の公式サイトに詳しい運転日の案内があるので、そちらを参考にしてみてください。
公式サイト運行日・運行時刻|国鉄形観光急行
時刻表・停車駅
急行列車として運行する場合
直江津 | 糸魚川 | 青海 | 親不知 | 市振 | |
---|---|---|---|---|---|
急行1号 | 11:31発 | 12:22着 12:34発 | ー | ー | 12:52着 |
急行2号 | 14:31着 | 13:32着 12:42発 | ー | ー | 13:14発 |
急行3号 | 15:03発 | 15:51着 16:01発 | 16:07発 | 16:12発 | 16:18着 |
急行4号 | 17:23着 | 16:45着 16:55発 | 16:39発 | 16:33発 | 16:26発 |
急行3号・4号は、糸魚川駅~市振駅間にて普通列車として運行します。
直通運転のため、終点まで向かうならそのまま乗車していてOK。
なお糸魚川駅~市振駅間のみ利用する際は、乗車券のみで乗れます。
乗車区間が直江津駅~糸魚川駅間にまたがる場合は急行券が必要です。
普通列車として運行する場合
直江津 | 春日山 | 高田 | 南高田 | 上越妙高 | 北新井 | 新井 | 二本木 | 関山 | 妙高高原 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
上り | 8:42 | 8:46 | 8:51 | 8:54 | 8:58 | 9:02 | 9:06 | 9:15 | 9:24 | 9:33 |
下り | 10:29 | 10:24 | 10:20 | 10:16 | 10:13 | 10:08 | 10:04 | 9:56 | 9:48 | 9:39 |
観光急行列車の運行日に限り、妙高はねうまラインの普通列車にも急行車両が使われます。
普通列車のため乗車券さえあれば乗車可能です。
予約方法・切符の買い方
- 直江津駅・糸魚川駅の窓口
- 観光急行車内(当日・当該列車のみ)
観光急行はネット予約不可。
窓口、もしくは観光急行の車内で切符を購入しなければいけません。

急行券を昔懐かしい硬券で発券してくれるのも、マニアにはうれしいポイント。
急行料金もお手頃ですし、青春18きっぷ旅行がてらフリーパスなどで乗車するのもアリです。
【観光急行 乗車記】413系・455系普通列車|トキ鉄の現役最後となった国鉄急行形車両|まとめ
以上、今回は「【観光急行 乗車記】413系・455系普通列車|トキ鉄の現役最後となった国鉄急行形車両」という内容でお届けしました。
昔懐かしい国鉄形電車で運行される、えちごトキめき鉄道の観光急行。
世代ドンピシャの人も、その時代を知らない人も楽しめる魅力があると感じました。
「絶滅危惧種の貴重な列車に毎週乗れるチャンスがある」
これは非常に素晴らしいことだと思います。



