弘南鉄道弘南線の全線乗車レポートをお届けします。
青森県弘前市を中心に活躍する弘南鉄道。
そのうち弘前駅から平川市・田舎館村を経て、黒石駅まで至る弘南線。
2028年3月に運行休止が決定した同社の大鰐線とはどんな違いがあるのか?
実際に乗車して確かめてきました。
当ブログ「東北旅びより」では、以下の内容を紹介していきます。
- 弘南鉄道大鰐線・弘南線とは?
- 2027年度末に弘南鉄道大鰐線が事実上廃線…弘南線一本化へ
- 弘南鉄道大鰐線の乗車記(弘前駅~黒石駅)
ぜひ参考にしてみてくださいね。
弘南鉄道大鰐線・弘南線とは?
青森県弘前市を中心に大鰐線・弘南線の2つの路線を運行する弘南鉄道。
国内最北の電化された私鉄としても有名です。
ちなみに正真正銘の日本最北の私鉄は、同じく青森県の津軽鉄道。
- 大鰐線 大鰐駅(大鰐町)~中央弘前駅(弘前市)
- 弘南線 弘前駅(弘前市)~黒石駅(黒石市)
弘南鉄道は以上の区間で運行しています。
中央弘前駅と大鰐駅の約14kmを結ぶ大鰐線。
全線単線で駅数は14駅。
中央弘前駅でのJRとの接続はないものの、大鰐駅とJR大鰐温泉駅は隣接しています。
また、ほぼ全区間においてJR奥羽本線と並走しているのが特徴。

弘南線は弘前駅から平川市・田舎館村を経て、黒石駅までの約17kmを結ぶ路線。
全線単線で駅数は大鰐線より少ない13駅。
弘前駅ではJR奥羽本線への乗り換えが可能です。
路線図の通り、弘前駅と中央弘前駅は鉄道での接続がありません。
2つの路線が独立した状態で、それぞれの地域輸送を担っているような印象を受けます。
2027年度末(2028年3月)に弘南鉄道大鰐線が事実上廃線…弘南線一本化へ
弘南鉄道(本社青森県平川市)は27日、赤字続きの大鰐線(大鰐-中央弘前、13.9キロ)を廃線にする方針を示した。利用客の減少や電気料高騰などで今後も収益改善が見込めないためで、同日に弘前市役所で開かれた弘前圏域8市町村長の非公開会合で方針を説明。沿線の弘前、大鰐の両首長は「やむを得ない」と理解を示し、同線の廃線が事実上決まった。同社は2027年度末で運行を休止し、路線廃止に向けた手続きを進める考え。
引用:東奥日報社
2024年11月、弘南鉄道は大鰐線の運行休止(事実上の廃止)を発表。
物価高騰や人員不足、収支改善が見込めないなどの理由からだそう。
利用者数は1974年の約389万人をピークに年々減少し、2023年は約27万人…
全盛期の7%ほどにとどまっています。
沿線には複数の高校・大学、土手町を始めとする中心エリアがあるものの、少子化や相次ぐ商業施設の閉鎖・移転…
そんな中で起こった、設備の老朽化による脱線事故。
その状況から見るに、自治体としても、鉄道会社としても、これ以上の打つ手はなし…というところまで来てしまったのかもしれません。
廃止後は経営資源を弘南線に集約させ、利用促進のための新たな取り組みを始めていくとのこと。
2013年に廃止の話が出て以来、なんとか生き延びてきた大鰐線もついに…
地域の日常ともいえる風景がなくなるのはあまりに惜しいものですが、これも走り続けていくための決断なのであれば、やむを得ないのかもしれません。
どうか大鰐線から託されるバトンを末永く繋いでいってほしいと願うばかりです。

【乗車記】弘南鉄道弘南線|昭和のレトロトレインで行く弘前~黒石の旅
弘南鉄道弘南線に乗車すべく、JR弘前駅東口へ。
ちなみに駅前のドでかいホテル「アートホテル弘前シティ」や弘前公園などがあるのは西口方面。
JRの改札を出たら「城東口」と書かれた案内に従って進めばOKです。
JRの駅舎のすぐ隣なので特に迷うことはなさそう。
駅舎内へ。
中央弘前駅に比べ現代的な作りなのが特徴的。
自動改札機はないものの、待合室などは完備されてます。
改札で駅員さんに切符を見せホームへ。
阪急の梅田駅や上野駅のような、終着駅らしい頭端式ホームの弘南鉄道弘前駅。
大鰐線の中央弘前駅は列車1本分のスペースであるのに対し、こちらは2本分のスペースが設けられていますね。
賑わい方もなんとなく中央弘前駅周辺とは違うような…
商業施設の移転、閉業など相次ぐ古くからの中心エリア。
賑わいも今では駅前に移りつつある…ということなのでしょうか。
駅名標はJR仕様。
隣駅の弘前東高前でなく、黒石駅が記載されているのが地味に面白ポイント。
全2両編成で運行する弘南線の車内。
座席はすべて対面形式で一列に座るロングシートと呼ばれるものです。
さすが昭和につくられた車両。
今ではなかなか見られなくなった扇風機も。


東急電鉄の車両として首都圏で活躍し、のちに弘南鉄道へと譲渡された当車両。
当時の面影が残っているのもいいですね。
定刻通り、弘南線は弘前駅を出発。
間もなく奥羽本線と分岐し黒石方面へ。
最初の停車駅、弘前東高前に停車。
沿線には複数の学校もあり、学生らしき利用者がしばしばみられるのも特徴のひとつですね。
大鰐線よりも若者の利用者が多いような印象。
平川市に入り、平賀駅に停車。
列車交換が可能な構造ではあるものの、脱線事故以来2番線は使用停止しているようですね。
平川市の主要駅ということもあって、乗降はやはり多め。
田舎館村の主要駅、田舎館駅に停車。
村の玄関口ともいえる駅ですが、中心部から少し距離があるよう。
コンパクトな駅ですが、風情ある木造駅舎を有し、列車交換も可能な構造になっています。
田舎館村といえば有名なのが田んぼアート。
会場までのアクセスには隣駅の田んぼアート駅が便利です。
ただ冬期間は原則として関係施設閉鎖のため、田んぼアート駅はそのまま通過。
弘前駅から約35分、終点の黒石駅に到着。
反対側のホームには弘前行きの列車がスタンバイしています。
黒石駅に停車する除雪用車両、ラッセル車。
もう100年近く走っている車両だと聞きます。
まさに生きた伝説。
黒石市の玄関口、黒石駅。
まるでここだけ時間がとなったかのような、昭和レトロな駅舎です。
左側にはかつてコープあおもり黒石店がありましたが、2020年6月に閉店、同年12月には解体されました。
駅前にはバスロータリーがあり、その向かい側からはかつて国鉄黒石線も発着していたそう。
歴史は国鉄黒石駅の方が深く、開業は1936年。
のちの1950年、弘南鉄道弘南線がこの地に開設されます。
そして1998年に廃止となった黒石線。
当時の痕跡も探したかったんですがあいにくの天気…
とは言っても痕跡自体がもう全くと言っていいほどないそうですが、夏になったらまた訪れたいですね。
中心部までは徒歩10分程度。
駅前バス停からは青森・弘前方面の他、温湯温泉、青荷温泉方面への便も発着しています。
【乗車記】弘南鉄道弘南線|昭和のレトロトレインで行く弘前~黒石の旅まとめ
以上、今回は「【乗車記】弘南鉄道弘南線|昭和のレトロトレインで行く弘前~黒石の旅」という内容でお届けしました。
弘前駅~黒石駅を結ぶローカル線、弘南鉄道弘南線。
- 並走する鉄道路線がないこと
- 県内主要都市の玄関口、JR弘前駅隣接であること
- 沿線人口や駅周辺の利便性など
これらが関係しているのか、大鰐線よりも人の流れが明らかに違っているというのが率直な印象でした。
2028年には大鰐線が運行休止に…
どうか大鰐線から託されるバトンを末永く繋いでいってほしいと願うばかりです。





