青森県を走る日本最北の私鉄、津軽鉄道ストーブ列車の乗車記をお届けします。
津軽鉄道は、津軽五所川原駅と津軽中里駅の約20kmを結ぶローカル線。
夏や秋には風鈴列車、鈴虫列車が走ることで知られる路線ですが、中でも特に人気なのが冬のストーブ列車。
昔懐かしい客車に乗って、駅員さんや販売員さんと他愛のない会話をしたり、のんびり車窓を眺めたり…
そんな旅情を感じられるローカル線って、全国を見てもそう多くはありません。
鉄道ファンはもちろん、旅行者にもかなりおすすめできる路線です。
当ブログ「東北旅びより」では、以下の内容を紹介していきます。
- 津軽鉄道 ストーブ列車の運転期間・時刻表・停車駅・料金
- 津軽鉄道の乗り方ガイド
- 津軽鉄道沿線の見どころ
ぜひ参考にしてみてくださいね。
津軽鉄道・ストーブ列車とは?
津軽鉄道は、津軽五所川原駅と津軽中里駅の20.7kmを結ぶ鉄道路線。
日本最北の私鉄としても有名です。
津軽鉄道は、田園風景など基本的にのどかな車窓が続くローカル線。
朝の通学時間帯や、芦野公園で毎年春に開催される「金木桜まつり」の時期を除いて、大半は津軽21形気動車1両によるワンマン運転を実施しています。
夏の風鈴列車や、秋の鈴虫列車はもちろんですが、中でも特に人気なのが冬のストーブ列車です。
1930年12月に運行開始したストーブ列車は、一時は戦時中の物資不足により休止したものの、1947年に運行再開。
それ以来、70年以上沿線で活躍しています。
冬以外にも「金木桜まつり」の時期に合わせてストーブ列車を運行したり、真夏のストーブ列車として夏に運行することもあるのだそう。
レトロな車内、津軽弁のアテンダントさんの沿線案内など、ここでしかできない体験が盛り沢山。
「これぞ昭和の汽車旅!」と思わせてくれるような旅情が、ここにはあります。
津軽鉄道 ストーブ列車の運転期間・時刻表・停車駅・料金
運転期間
運転期間 | 12月1日~翌年3月31日 |
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津軽鉄道のストーブ列車は、1日3往復の運転。
該当の時間帯以外は、すべて通常列車での運行となっています。
12月中のみ、ストーブ列車の運転日は平日2往復、土日3往復となります。
※12月1日は、土日の場合でも2往復の運転です。
※12月30日~3月末までは、毎日3往復の運転となります。
時刻表・停車駅(2024年)
津軽五所川原駅発
津軽五所川原 | 十川 | 五農校前 | 津軽飯詰 | 毘沙門 | 嘉瀬 | 金木 | 芦野公園 | 川倉 | 大沢内 | 深郷田 | 津軽中里 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
9:35 | 9:38 | 9:43 | 9:46 | → | 9:56 | 10:01着 10:05発 | 10:08 | → | 10:14 | → | 10:20 | |
12:00 | 12:03 | 12:08 | 12:11 | → | 12:21 | 12:26着 12:30発 | 12:33 | → | 12:39 | → | 12:45 | |
14:40 | 14:43 | 14:48 | 14:51 | → | 15:01 | 15:06着 15:10発 | 15:13 | → | 15:19 | → | 15:25 |
津軽中里駅発
津軽中里 | 深郷田 | 大沢内 | 川倉 | 芦野公園 | 金木 | 嘉瀬 | 毘沙門 | 津軽飯詰 | 五農校前 | 十川 | 津軽五所川原 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
10:53 | → | 10:58 | → | 11:04 | 11:07着 11:11発 | 11:16 | → | 11:25 | 11:28 | 11:33 | 11:37 | |
13:37 | → | 13:43 | → | 13:49 | 13:52着 13:56発 | 14:01 | → | 14:10 | 14:13 | 14:18 | 14:22 | |
15:54 | → | 16:00 | → | 16:06 | 16:09着 16:12発 | 16:17 | → | 16:26 | 16:29 | 16:34 | 16:38 |
料金
乗車券 | 津軽五所川原~金木:560円 津軽五所川原~津軽中里:870円 |
---|---|
ストーブ列車券 | 500円 |
※ストーブ列車は全車自由席の列車なので、予約はできません。
※ストーブ列車は、津軽フリーパスでは乗車できません。別途、普通乗車券+ストーブ列車券が必要となります。
【旅行記】津軽鉄道ストーブ列車|冬の風物詩!身も心も温まる昭和の汽車旅
弘前駅から五能線に乗車して五所川原駅へ
旅のスタートは弘前駅。
津軽鉄道に乗車するため、まずは五能線に乗車して五所川原駅へと向かいます。
弘前駅に停車する五能線。
2021年3月13日からは、国鉄車両キハ40系に代わり、新型車両のGV-E400系が運用につくことになりました。
五能線で運行する観光列車「リゾートしらかみ」も五所川原駅に停車します。
乗車には840円の追加料金が必要ですが、五能線の普通列車は本数が多くありません。
時間帯が合えば、リゾートしらかみの利用もおすすめです。
弘前駅から約40分、列車は五所川原駅に到着。
国鉄時代を彷彿とさせるような、横長の駅舎が特徴的です。
津軽五所川原駅からストーブ列車に乗車
津軽五所川原駅があるのは、JR五所川原駅のすぐ隣。
JRの五所川原駅に対し、津軽鉄道の五所川原駅はコンパクトでかわいらしい印象です。
昭和の雰囲気が漂う、津軽五所川原駅の待合室。
JRと共同使用しているのは跨線橋くらいで、ホームと駅舎は別々で使っているようです。
待合室内には売店も。
列車のストーブで焼く用のスルメを始め、ご当地のお菓子やジュース、津軽鉄道関連のグッズなども販売されていました。
窓口で乗車券とストーブ列車券を購入。
そうです。あのパッチンってするやつです。
まさか令和の時代になっても、これを見れるとは。
全国を見ても、硬券が現役な場所ってなかなか無いんじゃないでしょうか?
ストーブ列車の車内
ストーブ列車の客車を牽引するのは、津軽21形気動車という車両。
津軽鉄道の普通列車として使われている車両です。
いつもはDD350形というディーゼル機関車が牽引しているんですが、故障により運休中とのことでした。
「走れメロス」の作者である太宰治は、津軽鉄道沿線出身の作家。
それにちなんで、列車にも「走れメロス」のロゴマークがつけられています。
こちらがストーブ列車の客車。
ダルマストーブのヘッドマークが特徴的です。
ストーブ列車の車内は、昔ながらの4人掛けボックスシート。
車両端部の対角線上にダルマストーブが2台。
ストーブ列車のアテンダントさんが、このストーブでスルメを焼いてくれます。
これが逆に旅情をそそりますね。昭和初期って感じがして。
車両上部の網棚がその文字の通り「網を使った棚」になっているのも最高です。
昔は当たり前だったんでしょうけど、今じゃほとんど見れないですからね。
今回乗車したストーブ列車の車両は、オハ46形というもの。
1954年~1955年に製造された車両で、かつては国鉄の客車として使用されていました。
1983年に津軽鉄道に譲渡されたオハ46形は、ストーブ列車の客車としては4代目になるのだそう。
その他の客車として、同じく1983年に国鉄から譲渡されたオハフ33形というものあります。
オハフ33形は1948年に製造された車両なので、つまりもう70年以上走り続けているわけですね。
まさに走る奇跡。
今じゃすっかり列車内で見れなくなった、栓抜きのプレートも。
昔の日常風景に思いを馳せながら、車両を見て回るのも楽しいです。
1930年11月に全線開業し、同年の12月から運行開始した津軽鉄道のストーブ列車。
1944年~1946年の間は戦時中の物資不足により運休となったものの、1947年からは運行再開。
2020年11月13日には、全線開業90周年を迎えました。
津軽五所川原駅を出発
内心興奮しっぱなしの筆者を乗せ、定刻通りにストーブ列車は津軽五所川原駅を発車。
五所川原市の市街地を後にし、雪景色が広がる平野の中を進みます。
車内販売のワゴンが回ってきたので、スルメを購入。
アテンダントさんにストーブで焼いていただきました。
旅情溢れる車内で津軽平野の雪景色を眺めながら、ストーブで焼いたスルメを食べる…
なんて贅沢な時間。
津軽五所川原駅から約15分、ストーブ列車は嘉瀬駅に到着。
嘉瀬駅には、元SMAPの香取慎吾さんが「SMAP×SMAP」の番組企画「夢のキャンバス鉄道」にてペインティングした車両があります。
夢のキャンバス号は、2000年の運行終了後も屋外に展示されていたものの、雨や雪の影響で次第に劣化…絵は色褪せ、車体には錆びが目立つように。
そんな中、津軽鉄道のアテンダントさんが番組宛てに
という旨の手紙を送ったのだそう。
その思いに応えようと、20年後の2017年に「おじゃMAP!!」のロケで再び香取慎吾さんらが来訪。
夢のキャンバス号は修復され、現在に至ります。
ちなみに吉幾三さんの地元はこの辺りなんだそう。
嘉瀬駅の隣駅、金木駅に到着。
金木駅は、沿線では数少ない有人駅のひとつ。
太宰治の生家「斜陽館」の最寄り駅でもあります。
そのためか、この駅で下車する人も多いです。
川倉駅を過ぎると、車窓からは用水路が見えてきました。
アテンダントさんの話によると、元々は津軽森林鉄道が走っていた場所なんだそう。
現在は廃線跡を用水路に整備して活用しているようです。
津軽中里駅から折り返しのストーブ列車で芦野公園駅へ
津軽五所川原駅から45分、ストーブ列車は終点の津軽中里駅に到着。
日本最北の私鉄、津軽鉄道。
津軽中里駅は津軽鉄道の終着駅なので、日本最北の私鉄駅となります。
首都圏ならまだしも、青森の津軽半島でこの時代まで私鉄が残ってるって…
ある意味すごいことなんじゃないかと思います。
津軽中里駅内には、待合室と食事スペースがありました。
駅内で待つ分には特に困らなさそうです。
当駅からはまた折り返しのストーブ列車に乗車し、途中の芦野公園駅にて下車したいと思います。
出発まで時間があったので、車内販売で石炭クッキーを購入。
本物の石炭かと思ってしまうくらい真っ黒ですが、その正体はブラックココア。
ほんのりビターな味わいで美味しいです。
芦野公園駅の旧駅舎を使ったカフェ 喫茶店駅舎を訪問
津軽中里駅から約10分、ストーブ列車は芦野公園駅に到着。
芦野公園駅で途中下車して立ち寄ったのは、ここ喫茶店駅舎。
赤い屋根が特徴的な喫茶店駅舎。
旧芦野公園の駅舎をリニューアルして使っているんだそう。
次の列車まで1時間以上ありますし、喫茶店駅舎でランチをとることにします。
芦野公園駅から普通列車で津軽五所川原駅へ
喫茶店駅舎を後にし、芦野公園駅に戻ってきた筆者。
ここからは津軽鉄道の普通列車に乗車し、津軽五所川原駅まで戻りたいと思います。
芦野公園駅は、JR東日本の「大人の休日倶楽部」のポスター撮影で吉永小百合さんが立った場所でもあります。
芦野公園は桜の名所。
春になったら再訪したいです。
津軽鉄道の普通列車の車内。
どことなく秋田内陸線の車内と似ているような気がします。
芦野公園駅から約30分、終点の津軽五所川原駅に到着。
昔は沿線住民の足として使われていたストーブ列車も、今ではすっかり観光列車に。
時代は変わっても、貴重な車両が今も走り続けていてくれるというのがとても嬉しいです。
津軽鉄道は、昔懐かしい汽車旅を体験できる数少ないローカル線。
五能線での観光とセットで楽しむのもアリかと思います。
【旅行記】津軽鉄道ストーブ列車|冬の風物詩!身も心も温まる昭和の汽車旅|まとめ
以上、今回は「【旅行記】津軽鉄道ストーブ列車|冬の風物詩!身も心も温まる昭和の汽車旅」という内容でお届けしました。
昔ながらの客車に乗って、駅員さんや販売員さんと他愛のない会話をしたり、のんびり車窓を眺めたり…
そんな旅情を感じられるローカル線って、全国を見てもそう多くはありません。
鉄道ファンはもちろん、旅行者にもかなりおすすめできる路線です。
レトロでノスタルジックな汽車旅を体験できる津軽鉄道、機会があればぜひ一度乗車されてみては?