北東北で新たに誕生した観光列車「ひなび(陽旅)」の乗車レポートをお届けします。
ひなび(陽旅)は、2023年12月に運行開始した新しい観光列車。
2023年8月をもって引退したリゾートあすなろを改造してつくられました。
今後は青森県・岩手県・秋田県を中心に運行していきます。
今回は普通車指定席、グリーン車を乗り比べてみることに。
結論から言えば、どちらも違った魅力があり「また乗りたい」と感じた観光列車でした。
当ブログ「東北旅びより」では、以下の内容を紹介していきます。
- ひなび(陽旅) 盛岡駅~釜石駅の乗車記
- ひなび(陽旅)の料金・ルート・時刻表・停車駅・運転日・予約方法
- ひなび(陽旅)の車内・座席の様子
ぜひ参考にしてみてくださいね。
新観光列車 ひなび(陽旅)とは?
ひなび(陽旅)は、2023年12月に運行開始した新しい観光列車。
12月30日、東北本線・釜石線(盛岡駅~花巻駅~釜石駅)を走る快速列車として、デビューを果たしました。
ちなみに「ひなび(陽旅)」には「この列車に乗って岩手・青森の自然を車窓から感じ、ぬくもりのあるゆったりとした旅をしてほしい」という意味が込められているんだそう。
ひなびは、2023年8月をもって引退したリゾートあすなろを改造してつくられました。
- 岩手・青森エリア ひなび(陽旅)
- 宮城・福島・山形エリアSATONO(さとの)
全2編成あったリゾートあすなろはリニューアルされ、以上のような運行体系となります。
なお、さとのは「あいづSATONO(郡山〜喜多方)」として2024年4月6日デビュー予定とのこと。
公式サイト北東北に新しい観光列車「ひなび 陽旅」がデビューします|JR東日本プレスリリース
ひなびの料金・ルート・時刻表・停車駅・運転日・予約方法
料金・運賃
運賃 | 盛岡~遠野:1,520円 盛岡~釜石:2,310円 |
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指定席 | 大人:840円 子ども(小学生以下):420円 |
グリーン車 | 150kmまで:2,000円 151kmから:3,000円 |
ひなびは全車指定席の快速列車。
乗車する際は、指定席券またはグリーン券の購入が必要になります。
またグリーン車に乗車する場合、盛岡駅~釜石駅間の料金は2,000円です。
ひなびのグリーン車は、青春18きっぷ・北海道&東日本パスでは乗車できません。
運行区間・ルート
当面は主に東北本線・釜石線内(盛岡駅~花巻駅~釜石駅)での運行となります。
2024年4月以降になると山田線(盛岡駅~宮古駅)、青森エリアでは大湊線(八戸~大湊)での運転もあるようなので楽しみですね。
またJR東日本のプレスリリースにある通り、臨時列車として大館や男鹿など秋田方面での運行もあるそう。
座席表
グリーン車指定席
普通車指定席
時刻表・停車駅(2024年度)
ひなび(陽旅)釜石 Aパターン
盛岡 | 花巻 | 新花巻 | 土沢 | 宮守 | 遠野 | 上有住 | 陸中大橋 | 釜石 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
往路 | 10:40発 | 11:10着 11:15発 | 11:22着 11:23発 | 11:30着 11:30発 | 11:45着 11:45発 | 12:09着 12:30発 | 12:55着 12:55発 | 13:06着 13:07発 | 13:24着 |
復路 | 19:40着 | 19:08発 18:54着 | 18:46発 18:45着 | 18:39発 18:38着 | 18:25発 18:21着 | 17:59発 17:35着 | 17:05発 17:04着 | 16:50発 16:49着 | 16:27発 |
ひなび(陽旅)釜石 Bパターン
盛岡 | 花巻 | 新花巻 | 土沢 | 宮守 | 遠野 | 上有住 | 陸中大橋 | 釜石 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
往路 | 9:45発 | 10:15着 10:45発 | 10:52着 10:53発 | 11:00着 11:03発 | 11:18着 11:18発 | 11:42着 12:30発 | 12:55着 12:55発 | 13:06着 13:07発 | 13:24着 |
復路 | 17:46着 | 17:13発 17:01着 | 16:54発 16:53着 | 16:46発 16:46着 | 16:31発 16:27着 | 16:05発 15:39着 | 15:17発 15:16着 | 15:02発 15:01着 | 14:45発 |
ひなび(陽旅)宮古
盛岡 | 宮古 | |
---|---|---|
往路 | 8:51発 | 11:19着 |
復路 | 17:22着 | 14:47発 |
ひなび(陽旅)下北
八戸 | 野辺地 | 陸奥横浜 | 下北 | 大湊 | |
---|---|---|---|---|---|
往路 | 10:50発 | 11:38着 11:41発 | 12:12着 12:13発 | 12:34着 12:35発 | 12:40着 |
復路 | 17:53着 | 17:05発 16:53着 | 16:26発 16:25着 | 16:04発 16:03着 | 15:59発 |
予約方法
- みどりの窓口
- 指定席券売機
- えきねっと
ちなみに指定席券売機とは、駅にある紫色の券売機のこと。
えきねっとから予約する場合、のってたのしい列車から「ひなび(陽旅)」を選択し、希望の日時を入力します。
【普通車指定席・グリーン車】ひなびの車内・座席の様子
ひなびの使用車両は、HB-E300系と呼ばれる気動車。
東北の観光列車では、リゾートしらかみの青池・橅編成や海里も同様の車両ですね。
全2両編成で、外装・内装ともにリゾートあすなろ時代とは異なったものになっています。
今回は普通車指定席・グリーン車どちらにも乗車できましたので、それぞれ詳しく紹介していきます。
1号車:グリーン車指定席
1号車はグリーン車指定席。
グレー・青・茶色などを基調とする、上品で落ち着いた空間です。
座席はすべてボックスシートで、4人掛け・2人掛け・1人掛け用のものが用意されています。
一人旅好きの筆者としては、やはり1人掛けのボックスシートが魅力的。
3席しかない超レア座席ですので、乗車するなら予約は早めの方がよさそうです。
グリーン車には座席上部に荷物棚がありません。
各座席に小さめの荷物スペースがあるので、こちらを利用します。
ちなみに4人掛け座席だと、リュック2つ分くらいのスペースが確保されています。
スーツケースなどの大きな荷物は、車両端部の荷物置き場を利用しましょう。
ちなみに向かい側には車内販売があります。
売店を利用する場合のみ、普通車指定席の利用者もグリーン車に立ち入ることが可能とのこと。
実際に座ってみるとこんな感じ。
座席が大きめに作られているおかげで、周囲があまり気にならないのがいいですね。
リクライニング機能は備わっていませんが、横幅が広くゆったりと過ごせます。
テーブルは広々としていますし、飲食時も特に困ることはなさそうですね。
席から車窓を眺めるとこんな感じ。
支柱がある関係で、車窓を思う存分に楽しめない場合があります。
特に大きなデメリットではないかと思いますが、気になる人は気になってしまうかも。
車窓を楽しみたいときは、車両端部の展望席を利用するのがおすすめ。
誰でも自由に使えますし、前面展望・後面展望も楽しめます。
デッキ部分には男女共用トイレ・洗面化粧台があります。
- 家族連れなどグループで乗車する
- プライベートな空間を重視したい
- 一人だが、より充実した鉄道旅行を楽しみたい
以上のような人には、グリーン車がおすすめですね。
2号車:普通車指定席
2号車は普通車指定席。
グリーン車とは対照的な、暖色系の色合いが特徴的。
座席上部には荷物棚も用意されているので、スーツケースなど大きなものがあっても安心です。
今回は最前列の席を予約。
他の座席のように足を思う存分に伸ばせないのがネックですが、パノラマで車窓を楽しめるのが魅力。
ちなみに最前列以外は足元の広さが尋常じゃないです。
手をちゃんと伸ばさないと前面のテーブルを取り出せないレベル。
足元だけで言えば間違いなくグリーン車よりも広々としてます。
肘掛けにはミニテーブルを完備。
前面のテーブルとは距離があるため、飲食時はこちらを使うと便利かも。
グリーン車のようなソファー席はありませんが、普通車指定席でも展望席からの車窓を楽しめます。
- 1~2人で乗車する
- コスパを重視したい
- リクライニングシートでゆったりくつろぎたい
そんな人は普通車指定席がおすすめですね。
【乗車記】ひなび(陽旅) 盛岡~釜石|グリーン車・指定席を乗り比べ!北東北でデビューした新観光列車
盛岡駅からひなび釜石のグリーン車に乗車
旅のスタートは盛岡駅。
岩手県の県庁所在地、盛岡市の中心駅です。
この日のひなび釜石は7番線からの発車。
Bパターンでの運行だったので、盛岡駅を9時45分に出発します。
発車20分前でしたが、すでにホームに入線していたひなび釜石。
外装には「盛岡色」の愛称で親しまれる白地と赤ラインを使用。
北東北の豊かな自然を表現したデザインなんだそう。
ちなみにこちらが盛岡色。
岩手県、青森県で運行していた気動車によく用いられていたカラーリングです。
盛岡駅から途中の遠野駅まではグリーン車に乗車。
ここだけ見れば、かつてのリゾートあすなろの面影はどこへやら…
リニューアルと言えど、全く新しい観光列車のように感じます。
デビューして間もない頃だったためか、グリーン車・普通車指定席ともにほぼ満員。
どうかこの盛り上がりが末永く続いてほしいですね。
定刻通りに盛岡駅を出発。
雫石川と東北新幹線の高架橋を後にし、東北本線内を走行します。
終点である釜石駅までの所要時間は3時間半ほど。
長い時間お世話になります。
盛岡駅から花巻駅までの30分間はノンストップ。
力強いエンジン音を響かせながら、東北本線を爆走します。
令和の時代にかつての特急街道を走る姿は、乗り鉄としては特別なものに感じますね。
花巻駅で約30分停車 駅前のおしゃれカフェで朝食を購入
盛岡駅から約30分、花巻駅に到着。
花巻駅では29分停車するとのこと。
余談ですが、始発の新幹線に乗車してきたため、まだ朝食をとっていなかった筆者。
ちょうど花巻駅前に気になっていたお店があったので、停車時間を利用して立ち寄ることにしました。
花巻駅から徒歩1分のダイニングバー、リットワークプレイス。
自家製のクラフトビールやベーグルを楽しめるお店です。
クリームチーズをトッピングしたベーグルを購入。
非常に食べごたえがあり、1個でも十分に満足できる量でした。
花巻駅を出発し釜石線を走行
ひなび釜石は定刻通りに花巻駅を出発し、東北本線と分岐して釜石線内へ。
花巻駅からは進行方向が変わり、先頭が普通車指定席となります。
新花巻駅に到着。
東北新幹線の停車駅でもあるためか、当駅でも乗車する人がちらほらいるようでした。
傾向として、大半は盛岡駅から乗ってくるみたいですね。
土沢駅、宮守駅を出発。
土沢駅でも乗り降りする人が少しだけいるようでした。
おそらく地元民でしょうか。
三連休が重なっていたことも関係あるのかもしれませんね。
理由はどうあれ、こうして地元の利用者と思われる人たちがいることを目にでき、少し安心感がありました。
宮守駅を出発すると間もなくして「めがね橋」の愛称で知られる宮守川橋りょうを渡ります。
めがね橋は、宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」のモチーフにもなった場所。
橋のライトアップも実施しており、夜になるととても幻想的です。
前面展望・後面展望を思う存分に楽しめるのも、ひなび釜石の醍醐味。
遠野駅では50分停車
盛岡駅から約2時間、ひなび釜石は遠野駅に到着。
Bパターンでの運行の場合、遠野駅では50分停車します。
停車時間を利用して、駅周辺を散歩することにしました。
遠野駅に停車中のひなび釜石。
遠野駅の待合室。
駅内のコンビニが閉店し、新たに「とおの結屋」がオープンしていました。
停車時間内に遠野駅周辺で昼食となると、相当場所が限られてきますし…
こちらでおにぎりを買って、車内でゆっくり食べるのもいいかもしれません。
みどりの窓口も併設。
急行券、寝台券という表記に時代を感じます。
周辺を散策後、遠野駅の売店にて名物の遠野どぶろくを購入。
デザートのような甘いお酒なのかと思いきや、思ったより甘さは控えめ。
大人っぽい甘酒というのが率直な感想ですね。
お米の旨味を残しつつ後味はスッキリしており、食中・食後どちらもいけそうな印象を抱きました。
これが遠野名物、どぶろく。侮れません。
遠野駅からひなび釜石の普通車指定席に乗車
遠野駅からは普通車指定席を利用することに。
乗客の3割ほどは遠野駅で降りたようで、当初より車内は空席が目立つ状態となっていました。
遠野駅を定刻通りに出発。
釜石駅へ向けて、再び山越えの区間に入ります。
中でも一番の車窓の見どころは、上有住駅~陸中大橋駅間の「オメガループ」と呼ばれる区間。
オメガループとは、その名の通り「Ω(オメガ)」の記号のような形を描きながら走行することです。
地図を見ると、線路が「Ω(オメガ)」のような形をしているのがお分かりかと思います。
上有住駅~陸中大橋駅間にある「仙人峠」は、釜石線内では最も勾配が厳しい場所。
陸中大橋駅と仙人峠には、約300mもの高低差があるのだそう。
しかし列車の構造上、急勾配を一気に登ることが難しいんです。
そこで考えられたのが、オメガループ。
急勾配を避けるため、180度迂回しながら高度をかせいでいく…
という仕組みになっています。
上有住駅を通過すると、車窓からはもうひとつ線路が見えてきました。
この線路は別の路線のものではなく、正真正銘の釜石線の線路。
これからひなび釜石が通る線路です。
現在の写真の位置から180度ゆるやかにカーブして、下の線路を走ります。
そして長いトンネルを越えると、今度は車窓から赤い鉄橋が見えてきます。
これが、先ほどひなび釜石が通った線路。
180度カーブしながら、下へと降りてきました。
陸中大橋駅に到着。
かつては鉄鉱石の積み出しで賑わったとされる陸中大橋駅。
有人駅だった当時は大きな駅舎があり、その中には売店もあったそう。
現在はホームに小さな待合室だけを備える無人駅となっています。
駅では鉱石を運ぶホッパーの遺構や、炭鉱までの廃線跡が現在でも少しだけ確認できました。
三陸鉄道リアス線と合流し、甲子川を渡るひなび釜石。
終点はもう間もなくです。
終点の釜石駅に到着
盛岡駅から約3時間半、ひなび釜石は終点の釜石駅に到着。
長時間の乗車でしたが、そこまで「長すぎる!!」とは感じませんでしたし、沿線で途中下車して観光できるのも面白いポイントでした。
SL銀河が引退して早半年ほど…
ひなび釜石が新たな観光の起爆剤となることを願うばかりです。
【乗車記】ひなび(陽旅) 盛岡~釜石|グリーン車・指定席を乗り比べ!北東北でデビューした新観光列車|まとめ
以上、今回は「【乗車記】ひなび(陽旅) 盛岡~釜石|グリーン車・指定席を乗り比べ!北東北でデビューした新観光列車」という内容でお届けしました。
2023年12月にデビューした新しい観光列車、ひなび。
普通車指定席・グリーン車でそれぞれ違った魅力があるのも、また面白いポイントだと感じました。
SL銀河が引退して早半年ほど…
ひなび釜石が新たな観光の起爆剤となることを願うばかりです。