岩手県で運行する観光列車「ジパング平泉1号」の乗車レポートをお届けします。
盛岡〜一ノ関で運行する観光列車、ジパング平泉。
改造車って言っても、ここまで色濃く国鉄特急485系の姿を残してるのってこの列車くらいじゃ…?
観光気分と国鉄特急気分をダブルで味わえる最高の列車です🙆♂️ pic.twitter.com/AQMT9v3WTz
— なか@東北旅びより (@naka_travel) March 22, 2021
ジパング平泉は、東北本線の一ノ関駅~盛岡駅間で運行する臨時快速列車。
世界遺産のある平泉、中尊寺金色堂への観光需要アップを目的に作られました。
485系電車
国鉄時代に製造された車両。1964年のデビュー以来、特急の代名詞として全国各地で運用された。東北でも特急はつかり号や特急つばさ号、特急あいづ号、特急いなほ号など幅広く活躍していた歴史がある。ボンネット型や非貫通型など顔つきが各種存在し、バラエティ性にも富んでいる。 pic.twitter.com/PzRYK3Jmtb— 東北旅びより@東北の鉄道旅行メディア (@tohoku_travel) April 9, 2020
またジパング平泉は、国鉄特急485系を元に作られた車両としても知られています。
485系といえば、今もなお鉄道ファンから根強い人気を誇る列車。
しかし古い車両ということもあって、老朽化に伴う引退が各地で続いていた485系。
2017年3月の新潟駅~糸魚川駅間の快速列車を最後に、定期列車としての運用も終わりました。
そして2021年現在、製造時の姿で走る485系は1本も残っていません。
そんな絶滅危惧種とも言える485系の中でも唯一、原型に近い状態を留めているのがジパング平泉なんです。
改造車と言えども、国鉄特急485系の走りを生で体験できるのは超貴重。
特にリクライニングシートの自由席は青春18きっぷのみで乗車できることから、かなり乗り得な座席としても知られています。
そんなわけで当ブログ「東北旅びより」では、以下の内容を紹介していきます。
- ジパング平泉1号 一ノ関駅~盛岡駅間の乗車レポート
- ジパング平泉の運転日(2021年)・時刻表・停車駅
- ジパング平泉の料金・予約方法
- ジパング平泉の座席表・車内
ぜひ参考にしてみてくださいね。
「JR東日本グループニュース」にある通り、ジパング平泉は2021年9月26日に定期運用を終了します。
その後、10月10日の「ありがとうジパング」の運行をもって引退となります。
ジパング平泉とは?
ジパング平泉は、東北本線の盛岡駅~一ノ関駅間で運行するジョイフルトレイン。
2012年4~6月に開催した「いわてデスティネーションキャンペーン」に合わせてデビュー。
JR東日本盛岡支社の新たな観光列車として、2012年4月より運行開始しました。
ジパング平泉の名前の由来は、マルコ・ポーロ「東方見聞録」の黄金の国ジパングと、観光地「中尊寺金色堂」を有する平泉から。
日本の伝統的なカラーリングをイメージした、落ち着きのあるデザインが特徴的です。
お正月には仙台駅~平泉駅間で運行したり、春には「ジパング花めぐり号」として仙台駅~郡山駅間で運行したりすることも。
車内には展望室を始め、窓向きのペアシートやリクライニングシートを完備。
青春18きっぷなどでも乗車できることから、乗り得な列車としても知られています。
485系電車
国鉄時代に製造された車両。1964年のデビュー以来、特急の代名詞として全国各地で運用された。東北でも特急はつかり号や特急つばさ号、特急あいづ号、特急いなほ号など幅広く活躍していた歴史がある。ボンネット型や非貫通型など顔つきが各種存在し、バラエティ性にも富んでいる。 pic.twitter.com/PzRYK3Jmtb— 東北旅びより@東北の鉄道旅行メディア (@tohoku_travel) April 9, 2020
ジパング平泉は国鉄特急485系を元に製造された電車としても有名。
国鉄特急485系といえば、今もなお鉄道ファンから根強い人気を誇る列車です。
原型の485系はすでに全列車が引退してしまったものの、ジパング平泉やリゾートやまどり、華のような改造車は未だ健在。
改造車と言えども、国鉄特急485系の走りを生で体験できるのは大変貴重です。
【2021年度】ジパング平泉の運転日・時刻表・停車駅
【2021年度】運転日
列車名 | 出発駅 | 出発時刻 | 到着駅 | 到着時刻 | 運転日 |
---|---|---|---|---|---|
ジパング平泉2号 | 盛岡 | 9:46 | 一ノ関 | 11:09 | 7/17.18.22-25.31 8/1.7-9.14.15.28.29 9/4.5.18-20.23.25.26 |
ジパング平泉1号 | 一ノ関 | 11:22 | 盛岡 | 12:41 |
2021年7月1日~9月30日までのジパング平泉の運転日は、以上の通り。
なお今後の状況により、運転見合わせ、運休になる可能性もあります。
JR東日本の公式サイトも合わせて確認いただくと、より確実かと思います。
「JR東日本グループニュース」にある通り、ジパング平泉は2021年9月26日に定期運用を終了します。
その後、10月10日の「ありがとうジパング」の運行をもって引退となります。
時刻表・停車駅
盛岡 | 矢幅 | 花巻 | 北上 | 水沢 | 前沢 | 平泉 | 山ノ目 | 一ノ関 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ジパング平泉2号 | 9:46発 | 09:55着 09:56発 | 10:14着 10:15発 | 10:24着 10:29発 | 10:42着 10:43発 | 10:51着 10:52発 | 10:58着 10:59発 | 通過 | 11:09着 |
ジパング平泉1号 | 12:41着 | 12:29着 12:30発 | 12:10着 12:11発 | 12:00着 12:01発 | 11:46着 11:47発 | 11:36着 11:37発 | 11:29着 11:30発 | 通過 | 11:22発 |
ジパング平泉4号 | 13:02発 | 13:12着 13:13発 | 13:31着 13:32発 | 13:42着 13:43発 | 13:56着 13:57発 | 14:05着 14:06発 | 14:13着 14:14発 | 14:18着 14:18発 | 14:25着 |
ジパング平泉3号 | 16:52着 | 16:34着 16:40発 | 16:15着 16:15発 | 16:05着 16:05発 | 15:52着 15:52発 | 15:43着 15:44発 | 15:36着 15:37発 | 15:32着 15:32発 | 15:28発 |
ジパング平泉の料金・予約方法
料金
乗車券・運賃 | 1,690円(一ノ関~盛岡) 1,520円(平泉~盛岡) |
---|---|
自由席 | 0円 |
指定席 | 530円 |
ジパング平泉は快速列車なので、青春18きっぷでも乗車可能です。
予約方法
- みどりの窓口
- 指定席券売機
- えきねっと
指定席券の払い戻しをする場合、みどりの窓口での手続きが必要です。
340円の手数料を引いた190円が手元に戻ってきます。
えきねっとでの予約であれば、発券前かつ変更期限前であれば何度でも別の予約に変更可能です。
ジパング平泉の座席表・車内
座席表(指定席・自由席)
- 1号車:展望スペース・指定席(24名+展望室8席)
- 2号車:自由席(72名)
- 3号車:自由席(58名)
- 4号車:展望スペース・指定席(24名+展望室8席)
1・4号車の指定席を利用する場合、乗車券の他に指定席券(530円)が必要です。
2・3号車は自由席なので、乗車券のみで利用できます。
車内(指定席・自由席)
1・4号車:展望スペース・指定席・デッキ部分
1・4号車は展望スペース、指定席の車両。
指定席は全座席が窓向きに設置されています。
展望スペースの座席は合計8席。
運転士が普段見ている風景を、運転室越しに眺望できます。
豪華で気品のあるデザインと、光の演出が特徴的なデッキ部分。
岩手県の観光PRに関する映像も流れていて、平泉の歴史などが紹介されています。
ジパング平泉の1・4号車は、かつて「お座敷列車やまなみ」として使われていた先頭車2両をリニューアルしたもの。
やまなみの中間車2両は、現在リゾートやまどりの一部として使われています。
2・3号車:自由席・トイレ
ジパング平泉に乗車するなら、個人的におすすめしたい座席が、2・3号車の自由席。
全座席がリクライニングシートになっています。
背面テーブルに、リクライニング機能完備。
自由席なので、もちろん追加料金はゼロ。
乗車券だけで利用できるので、かなり乗り得です。
ジパング平泉の2・3号車は、かつて「特急はつかり」「特急白鳥」等で運用していた、青森車両センター所属の485系3000番台を再リニューアルしたもの。
2021年現在、営業運転している列車の中だと、原型の485系に近い状態を保っている車両は全国でこの2両くらいです。
トイレと洗面台があるのは3号車。
男性用と男女共用(車椅子対応)の2つがあります。
車体自体は古くともリニューアルしてますし、綺麗で使いやすいです。
【乗車記】ジパング平泉 一ノ関~盛岡|ついに引退!青春18きっぷで乗れる元特急車両
一ノ関駅からジパング平泉1号に乗車
今回の旅のスタートは、岩手県の一ノ関駅。
東北新幹線、東北本線、大船渡線が乗り入れている、一関市の代表駅です。
一ノ関駅から乗車するのは、快速ジパング平泉1号の盛岡行き。
終点の盛岡までお世話になります。
ジパング平泉は快速列車。
そのため青春18きっぷでも乗車できますし、指定席券を買い足すだけで指定席も利用できます。
盛岡駅から来たジパング平泉2号が、折り返しジパング平泉1号として運行します。
列車の雪化粧を見れるのも、冬の東北ならでは。めちゃめちゃいいと思います。
ジパング平泉のロゴマーク。
緑の文字に、金色と黒を基調とした、落ち着きのあるデザインです。
ジパング平泉は、国鉄特急485系を元に作られた観光列車。
まさか令和の時代になっても、東北本線内で「モハ485-3014」の表記を見れるとは。
- 1・4号車:「観光列車やまなみ」として使っていた車両の先頭車をリニューアル
- 2・3号車:「特急はつかり」「特急白鳥」などに使っていた車両の中間車をリニューアル
ジパング平泉は、1・4号車、2・3号車でそれぞれ別物だった車両を使ってるんです。
そのためか車体の至る所に相違点があるのも、ジパング平泉の面白いところですね。
大幅リニューアルした485系と、原型に近い485系を連結したデコボコ編成。
こんなユニークな車両もなかなかありません。
冬の東北本線を突き進むジパング平泉
国鉄特急での旅行気分を存分に楽しむために、今回は自由席に乗車することに。
そうなんです。ジパング平泉はこんなに貴重な列車であるにも関わらず、空いてることが多いんです。
ジパング平泉は、基本的に一ノ関駅~盛岡駅という短区間での運行。
たまに仙台や福島近辺で運転するくらいです。
ご老体に鞭打って走らせてるようなものだと思うので、長区間の運転は厳しいんでしょうけど。
そんな経緯もあってか、他の観光列車に比べあまりメジャーではないようにも感じます。
しかも仙台ならまだしも、一ノ関と盛岡ですもんね。
首都圏や関西の人からしたら、なかなか遠くて行きづらいでしょうよ。
ただ理由はどうあれ、混雑しない今がチャンス。
飽きるくらい乗りまくっておこうと思います。
自由席とは言えども、かつて特急として使われていた車両。
リクライニング機能完備ですし、テーブルも備え付けられてます。
一ノ関駅を定刻通りに出発したジパング平泉1号。
雪が降り積もる平野の中を突き進みます。
基本的に田園風景や平野がどこまでも続く、東北本線の車窓。
特別、代わり映えするような車窓ではなくとも、古くより多くの優等列車が活躍した大動脈路線を、国鉄特急485系で駆け抜ける。
もちろん姿形は変わっていますが、それでも特別なものに感じます。
「自由席」と書かれた札や、クリーム色のドアから感じられる独特のレトロっぽさが最高です。
「自由席」って文字の上に「禁煙車」と書かれてるのも、時代を感じますね。
JR東日本の列車って、今じゃどこも禁煙車が普通じゃないですか。
真冬の東北本線の車窓から pic.twitter.com/qEWGegYvpE
— 東北旅びより@東北の鉄道旅行メディア (@tohoku_travel) March 23, 2021
座席はもちろん、床下から感じるモーター音も国鉄特急485系そのまんま。
昔はこれが当たり前で、むしろ「うるさくて休めんわ…」って感じだったんでしょうけど、この音が旅情を引き立ててくれます。今が便利だからこそ言えることだけど。
でも昔ながらの電車旅の気分を味わえる列車って、今はそこまで多くありません。
だからやっぱり不便でも、古くとも、こういう車両が残ってくれることにありがたみを感じます。
昔の客車とかも、雪の中を走ってると同じようにドア部分に雪がびっしりついてることがあったように思います。
まさか令和の時代にもなって、この光景を生で見れるとは。逆に感動。
東北新幹線の高架橋と雫石川が見えると、終点の盛岡駅はもう間もなくです。
実際に乗車してみて意外だったのが、ジパング平泉は旅行者だけでなく地元民の利用者も多いということ。
確かに観光列車にしては停車駅が多いですし、快速ということもあって盛岡までのアクセスも便利ですもんね。
一ノ関駅~盛岡駅間は大半が各駅停車なので、快速列車の存在は余計に重宝されそうです。
盛岡駅に到着
一ノ関駅から約1時間半、ジパング平泉1号は終点の盛岡駅に到着。
短い区間であったものの、かつての東北本線の特急に乗車しているかのような気分を味わえました。
【乗車記】ジパング平泉 一ノ関~盛岡|ついに引退!青春18きっぷで乗れる元特急車両|まとめ
以上、今回は「【乗車記】ジパング平泉 一ノ関~盛岡|ついに引退!青春18きっぷで乗れる元特急車両」という内容でお届けしました。
ジパング平泉は、かつての東北本線特急に乗車している気分を味わえる観光列車。
改造車と言えども、国鉄特急485系の走りを生で体験できるのは大変貴重でした。