仙石線 各駅停車(あおば通駅~石巻駅)の全線乗車記をお届けします。
仙石線は、宮城県仙台市のあおば通駅から仙台駅を経由し、同県石巻市の石巻駅までを結ぶ路線。
読み方は「せんせきせん」です。
日本三景松島へのアクセス路線、通勤・通学路線としての役目を担う仙石線。
沿線には見どころが多く、また徒歩でも楽しめるスポットが多いのが特徴的。
特に海好きにはたまらない路線です。
当ブログ「東北旅びより」では、以下の内容を紹介していきます。
- 仙石線とはどんな路線?
- 仙石線沿線の見どころ・観光スポット
- 仙石線の乗車におすすめの切符
ぜひ参考にしてみてくださいね。
仙石線とは?
仙石線は、宮城県仙台市のあおば通駅から仙台駅を経由し、同県石巻市の石巻駅までを結ぶ路線。
読み方は「せんせきせん」です。
- 松島を始めとする観光地へのアクセス路線
- 仙台市内の通勤・通学路線
- 仙台市~多賀城市・塩竈市などの都市間輸送路線
主に以上の特色をもつ仙石線。
「松島駅・松島海岸駅の違い」で紹介しているように、駅が観光エリアに近いことから、松島観光にもかなり便利です。
仙石線の前身は、1925年に開通した私鉄の宮城電気鉄道。
1944年に国有化され、1987年にJR東日本の路線となりました。
また仙石線は、東北地方のJR線では唯一、そしてJRグループでは日本最北の直流電化路線としても知られています。
これは当時の鉄道が直流電化方式を主流としており、加えてその他諸々の要因も重なって、現在まで至るんだそう。
その影響もあって、首都圏で使われていた205系が東北で見られるというのも面白いですね。
また過去には103系が使われたことも。
ただ近年では車両故障が度々発生するという問題があり、新型車両を導入する話も出てきているよう。
確か宇都宮線などで活躍するE131系と置き換えになる…?なんて資料をどこかで見かけたような気が。
まだ公式から発表があったわけではありませんが、とにかく仙石線205系の終焉も近いことは事実。
もし乗る・撮影するなら、車両の置き換えがまだ正式に決まっていない、空いている今がチャンスかもしれませんね。
【旅行記】仙石線205系で行く松島・石巻の旅!海が見える駅と車窓の景色に癒される
仙台市中心部 あおば通駅から仙石線に乗車
旅のスタートは仙石線の始発駅、あおば通駅。
2000年の仙台駅~陸前原ノ町駅地下化と同時に開業した比較的新しい駅です。
ひとつ隣の仙台駅とは連絡通路で直通しており、それぞれの駅間は徒歩でも移動可能な距離。
あおば通駅に停車中の仙石線205系3100番台。
あおば通駅が当路線の始発駅かつ終着駅。
そのためホームによって行先は決まっておらず、左右どちらの乗り場からも石巻方面の列車が出発しています。
仙石線205系の車内
仙石線は全4両編成。
全車が窓側に背もたれが付いたロングシートで、トイレも付いています。
2人掛けクロスシート、ロングシートそれぞれに転換可能な2WAYシート車がまれに使われることも。
筆者があおば通駅から乗車した車両は、この2WAYシート車でした。
優等列車の座を仙石東北ラインへとバトンタッチした今では、ロングシートの運用として固定化されている模様。
まさか令和の時代に東北で205系の表記を拝めるとは。
多くの人にとっては揺れが多くボロい車両かもしれませんが、ごく一部の人間にとっては貴重になりつつある国鉄車。
乗れること自体がもうアトラクションのようなものです。
あおば通駅から松島海岸駅へ
あおば通駅といえばこの発車メロディ、青葉城恋唄。
アレンジバージョンだし以前仙台駅で使われていたものとも違うけど、やっぱりホームで聞くとより一層特別に感じる。
この場所はずっとこの曲であってほしい。 pic.twitter.com/1bkNtOOIvb
— なか / 東北旅びより (@naka_travel) July 24, 2024
あおば通駅といえば、発車メロディに使われる青葉城恋唄。
ややアレンジされていますが、長年仙台にいる人間ほど親しみ深く思うことでしょう。
そんなあおば通駅を定刻通りに出発し、しばらくは地下を進む仙石線。
2000年3月に仙台駅~陸前原ノ町駅の地下化、仙台駅~あおば通駅の延伸開業された仙石線。
当時の廃線跡はあまり残っていませんが、仙台駅東口周辺には踏切跡を示す平板も設置されています。
東北本線などに比べ、出発後しばらくは駅間の距離が近いのが特徴的。
かつての私鉄路線っぽさが少なからず感じられます。
陸前原ノ町駅を出ると徐々に地上へ。
急カーブのホームにゆっくりと入線すると、苦竹駅に到着。
余談ですが、東北本線の東仙台駅とは徒歩20分ほどの距離です。
あおば通駅から約20分、多賀城駅に到着。
仙台市の隣町、多賀城市の主要駅ということもあり、乗降もそれなりに多いです。
古代日本における、北の都でもあった多賀城。
2024年には創建1300年を迎え、多賀城の復元工事も着々と進んでいます。
東塩釜駅に到着。
複線区間は東塩釜駅までであるため、折り返し電車も多く設定されています。
通勤・通学路線としての特色が強い仙石線。
東塩釜駅から先の単線区間に入ると、車窓も雰囲気もローカル線へと一変します。
内陸部を走る東北本線では貴重な車窓。
海が見えるとこって松島付近くらいだし、旧区間の盛岡〜青森含めても浅虫温泉辺りくらいだもんなあ。 pic.twitter.com/HD4YRBIFaj
— なか / 東北旅びより (@naka_travel) June 3, 2021
東塩釜駅~陸前浜田駅間は、仙石線と東北本線が並走する面白い区間。
国有化される以前は、互いがライバル路線だった仙石線と東北本線。
こういった部分でも、当時の名残を感じられます。
宮城を代表する観光地 松島を観光
あおば通駅から約40分、松島海岸駅に到着。
「松島駅・松島海岸駅の違い」で紹介しているように、松島で観光するなら仙石線の利用がおすすめ。
東北本線の松島駅からだと、観光エリアまで10分以上歩かなければいけません。
日本三景、松島の最寄り駅でもある松島海岸駅。
ホームからの眺めも素晴らしいです。
2021年にリニューアルされた、松島海岸駅の駅舎とホーム。
旧駅舎に比べ、かなり広々とした印象です。
特に駅舎寄りの新1番線ホーム増設は、かなり利便性の向上に貢献しているのではないかと。
260余りの諸島が点在する松島湾。
筆者はもう何度も松島には訪れていますが、いつみても圧巻。
みる者を虜にしてしまう不思議な魅力があるのも、日本三景といわれてきた所以なのかもしれません。
牡蠣小屋やカフェなど、観光者向けのグルメスポットも充実している松島。
食べ歩きしながら観光したい人には「ずんだソフトクリーム」もおすすめです。
ちょうどいい甘さで、豆の風味もしっかり感じられるテイスト。
まさに夏にはピッタリで、これぞ宮城ならではという感じ。
松島の本土と県立自然公園「福浦島」を結ぶ、全長約250mの福浦橋。
出会い橋とも呼ばれており、この橋を渡ると良縁に恵まれるんだとか。
まるで昔話のワンシーンを切り取ったかのような朱塗りの橋。
福浦島では、四季折々の草花や松島湾を眺めながら散策が楽しめます。
松島海岸駅から石巻駅へ
松島海岸駅に到着した仙石線 pic.twitter.com/781N2fjgc6
— 東北旅びより@東北の一人旅メディア (@tohoku_travel) July 27, 2024
松島海岸駅から再び仙石線に乗車。
パッと見た感じ、やはり松島海岸駅で下車する人が多いよう。
筆者は引き続き石巻方面へ向けて進みます。
高城町駅手前で、再び東北本線と並走。
ここから分岐した約300mの短い線路を通り、仙石東北ラインは仙石線へと入線します。
2015年から運行開始した仙台駅~石巻駅間を結ぶ速達列車、仙石東北ライン。
正式名称は仙石線・東北本線接続線です。
仙石線 | 仙石東北ライン |
---|---|
仙台駅地下ホームを使用 | 仙台駅地上ホームを使用 |
電車で運行 | 気動車で運行 |
各駅停車 | 快速列車 |
仙石線内のみ走行 | 仙台~塩釜:東北本線を走行 高城町~石巻:仙石線を走行 |
仙石線・仙石東北ラインの違いをざっくり紹介すると、以上の通り。
かつては仙石線でも「快速うみかぜ」などが走っていましたが、現在は速達列車としての役目をすべて仙石東北ラインにバトンタッチ。
その影響で、現在あおば通駅~高城町駅間では快速列車の運行がありません。
高城町駅に到着。
当駅からであれば東北本線で塩釜方面まで向かえますし、徒歩15分ほどで松島駅まで行くことも可能です。
通勤・通学路線としての特色が強い仙石線も、東塩釜駅から先の単線区間に入ると車窓も雰囲気もローカル線へと一変。
車窓を流れる松島湾の風景に心が洗われる。 pic.twitter.com/xzmbwkGJRh
— なか / 東北旅びより (@naka_travel) July 25, 2024
陸前富山駅を過ぎると、海の見える区間へ突入。
震災の復旧工事に伴い、周辺の防波堤はかさ上げされました。
以前ほどの景観は楽しめなくなったとしても、絶景は健在。
この辺りは仙石線屈指の見どころでもあります。
間もなくして列車は大きくカーブし、山深い内陸部へと入っていきます。
野蒜駅から徒歩15分の場所につくられた、東松島市震災復興伝承館。
旧野蒜駅跡地にできた施設です。
東日本大震災による津波の被害が特に大きかった、東松島市の陸前大塚駅~陸前小野駅間。
以上の区間では、約3kmの線路を内陸の高台に移設して復旧。
これにより東名駅は約600m、野蒜駅は約500m内陸側に移動し、仙石線は震災前より1.2km短い49kmの路線になりました。
野蒜駅出発後、高架橋をくだる仙石線。
新たに高架化された部分はやはり真新しく、見ればすぐに分かります。
ただ途中、成瀬川を渡る際に通る橋梁は、震災以前の2000年に付け替えられたもの。
よくあの津波に耐えたなと驚くばかりです。
鹿妻駅に到着。
航空自衛隊松島基地に近く、駅前にはブルーインパルスのモニュメントが設置されています。
かつて実際に使用していた機体なんだそう。
矢本駅に到着。
旧矢本町の玄関口ということもあり、周辺には商店街が形成されているよう。
乗降もそれなりに多く、沿線でも主要駅のひとつに数えられることが分かります。
石巻あゆみ野駅を出発。
震災後に誕生した駅ですが、陸前赤井駅~蛇田駅間にに新駅を設置する計画自体は以前からあったそう。
震災の影響で構想は一時休止となったものの、2016年に現在の場所にて開業。
駅名には「復興、未来、新生活への歩み」を進めてほしいという思いが込められているんだそう。
この言葉から分かるように、駅前には新築の建物がかなり多いです。
石巻線と合流すると、間もなく終点の石巻駅です。
終点の石巻駅に到着
あおば通駅から約1時間半、終点の石巻駅に到着。
石巻線・仙石線・仙石東北ラインが乗り入れるターミナル駅で、仙台~石巻を結ぶ高速バスも発着しています。
合計2面5線を要する地上駅。
かつては仙石線・石巻線がそれぞれ別の駅舎を有していたことから、ホームが広々としています。
石ノ森章太郎氏ゆかりの地、石巻。
周辺には仮面ライダーを始め、サイボーグ009など代表作のキャラクターが飾られています。
平日と休日で発車メロディが変わる石巻駅。
平日の曲は旅行の始まり、動画内の休日の曲は上京や新たなる門出といったイメージ。
ノスタルジックなメロディとウミネコの鳴き声から石巻っぽさを感じられて好き。 pic.twitter.com/AjIz2t9mZN
— なか / 東北旅びより (@naka_travel) July 26, 2024
平日、休日で発車メロディが変わるのも特徴的な石巻駅。
この日は土曜だったため、休日限定の「Sea Green」が流れていました。
沿線には見どころが多く、また徒歩でも楽しめるスポットが多い仙石線。
特に海好きにはたまらない路線です。
【お得な切符】仙石線での旅行におすすめしたい往復きっぷ・フリーパス
【往復きっぷ】Wきっぷ
Wきっぷ(ダブルきっぷ)は、JR東日本が発売している2枚セットの切符。
仙台〜福島、仙台~石巻、仙台〜山形、福島〜郡山など、南東北の区間が対象になっています。
往復分の切符を買いたいなら、断然Wきっぷがおすすめ。
- 通常の切符を2枚購入 1,720円
- Wきっぷ 1,560円
Wきっぷにすることで、160円お得にあおば通駅・仙台駅~石巻駅間を往復可能です。
【フリーパス】小さな旅ホリデー・パス
小さな旅ホリデー・パスは、南東北で販売されているフリー切符。
料金は2,720円で、南東北の対象路線が1日中乗り放題になります。
小さな旅ホリデー・パスは、基本的に土日祝日のみ利用可能。
ただしゴールデンウィークや夏休み、年末年始は平日も使えます。
まさに宮城・山形・福島の鉄道旅行にはうってつけの、お得な切符といえるでしょう。
【旅行記】仙石線205系で行く松島・石巻の旅!海が見える駅と車窓の景色に癒される|まとめ
以上、今回は「【旅行記】仙石線205系で行く松島・石巻の旅!海が見える駅と車窓の景色に癒される」という内容でお届けしました。
沿線には見どころが多く、また徒歩でも楽しめるスポットが多い仙石線。
特に海好きにはたまらない路線です。