2025年4月25日、非電化で復旧した奥羽本線の新庄駅~院内駅・横堀駅の乗車レポートをお届けします。
2024年7月の豪雨被害以降、長らく運休していた奥羽本線の新庄駅~院内駅間。
非電化に合わせ新たにキハ110系およびGV-E400系の気動車コンビを招き入れ、この区間の運行を担っていきます。
横堀駅が新たなターミナルとなり、快速列車も23年ぶりに設定。
元通りではなかったとしても、線路が途切れなかったことこそが素晴らしいこと。
同様に被災し、ネガティブな話ばかりが耳に入ってくる津軽線や米坂線、陸羽東線のことがある中、よくぞ復活させてくれたなと思います。
6月まで使える週末パスの利用エリア内でもありますし、土日の鉄道旅行の行先にするのもアリかと。
当ブログ「東北旅びより」では、以下の内容を紹介していきます。
- 新庄駅~院内駅間復旧後の運行形態・ダイヤはどうなる?
- 奥羽本線新庄駅~院内駅・横堀駅の乗車記
ぜひ参考にしてみてくださいね。
新庄駅~院内駅間復旧後のダイヤはどうなる?非電化されるものの快速が23年ぶりに復活
- 運転再開日は2025年4月25日(金)
- 代行バスは2025年4月24日(木)で終了
- 復旧後は新庄~真室川(キハ110系使用)を1.5往復運転
- 新庄~院内(GV-E400系使用)を7往復運転
- 7往復のうち1.5往復を快速列車として運転
- 7往復のうち1往復は新庄~秋田直通運転
- 下り秋田方面は横堀駅、上り新庄方面は院内駅で乗り換えると便利(同一ホームで乗り継ぎ可)
2025年2月のJR東日本による発表によると、復旧後の運行形態はざっとまとめると以上の通り。
- 福島駅~新庄駅
- 新庄駅~秋田駅
- 秋田駅~青森駅
奥羽本線は福島駅~青森駅を結ぶ長大路線ですが、基本的に以上のような形でエリアごとに運行しています。
被災前、新庄駅~秋田駅にて運行していた701系電車。
このうち新庄駅~湯沢駅では優等列車の運行がなく、乗客も望めないような状況が長らく続いていました。
その中で発生した、2024年7月の豪雨被害。
津軽線の末端区間廃線がほぼ確定し、米坂線も復旧の目途が立たない中、今後どうなることやら…
なんて心配ばかりしていましたが、2025年4月25日にはその不通も解消され、心の底から良かったと思います。
さすがに廃線は考えすぎでしょうが、長期的な不通が続く状態になっていた可能性もゼロではなかったでしょう。
鉄道がないことが当たり前になってしまえば、復旧したとしても人を呼び戻すのは相当困難でしょうから…
キハ110系(新庄~真室川で運行)
GV-E400系(新庄~院内・秋田で運行)
復旧後は、キハ110系およびGV-E400系の気動車コンビが新庄駅~秋田駅間を担当します。
- キハ110系 新庄~真室川を1.5往復運転
- GV-E400系 新庄~院内を7往復運転
以上のうち、1.5往復は快速列車として運転、そして1往復は新庄駅~秋田駅間直通運転も実施するとのこと。
新庄駅~院内駅間は長らく優等列車がなかったので、これは予想外でした。
またこの区間はすべて気動車での運行となるため、架線設備は順次撤去していく予定です。

JR東日本ニュースにある通り、復旧後の奥羽本線新庄駅~院内駅・横堀駅間のダイヤも発表されました。
被災前に比べ新庄駅~真室川駅、新庄駅~院内駅でそれぞれ1往復減便。
ただ代行バスよりは本数が増えているみたいですね。
確かに元通りではありませんが、非電化だとしても鉄路が途切れなかっただけでも素晴らしいこと。
山形~秋田間を鉄路で移動する場合、遠回りする必要がなくなった点も大きいです。
【奥羽本線 乗車記】非電化で復旧を果たした新庄駅~院内駅の現在は?
非電化で復旧を果たした奥羽本線の新庄駅以北
旅のスタートは山形県新庄市の玄関口、新庄駅。
東西南北のうち南以外全部バス輸送はさすがに心配になるわ pic.twitter.com/qMJa2IBQae
— なか / 東北旅びより (@naka_travel) March 22, 2025
2025年3月訪問時、東西南北に伸びる鉄道のうち南以外はすべて代行バス輸送となっていました。
東側の陸羽東線は目途が立たない中、北側の奥羽本線は4月25日に非電化路線として復旧。
西側の陸羽西線の復活は2025年度中の予定。
鉄道の要衝、新庄は徐々に完全復活への歩みを進めています。
南側の奥羽本線(通称山形線)では東京方面へ直通する山形新幹線つばさ号も乗り入れ、その終点としての役目も担っている新庄駅。
そのため当駅を起点に奥羽本線は線路幅が異なっているのも特徴。
2025年度末で、旧型のE3系新幹線を新型のE8系新幹線で置き換えることが発表されています。
長く親しまれてきた風景がなくなってしまうのは、いつになったって寂しいもの。
E8系がどうか末永く沿線に愛される車両であってほしいと願うばかりです。

代行バス運行時とは違い、院内駅よりひとつ先の横堀駅が終点となったよう。
新庄駅から秋田方面に向かう場合、横堀駅で乗り換えると階段を利用することなく同じホームで乗り換え可能です。
逆に秋田方面から新庄駅にやってくるなら、院内駅で降りると便利。
横堀駅からやってきた普通列車が新庄駅に到着したのち、当駅始発の列車がホーム端にスタンバイ。
隣の3番線でなく、4番線の端に停車するようですね。
ホーム先端は屋根がないため、雨や雪が降った時だと少ししんどいかも…
復旧後、新庄駅以北で運行することとなった気動車GV-E400系。
普段は主に五能線などで見られますね。
かつては津軽線でも活躍していました。
ただ津軽線の非電化区間が運休中&廃止ほぼ確定であることから、余剰となった分をこちらまで持ってきた感じでしょうか。

列車はワンマン運転。
途中駅で降車する際は、基本的に1番前のドアを利用する形になります。
それにしてもまさか行先に横堀が表示される日が来るとは。
新庄駅から気動車で院内駅・横堀駅へ
定刻通りに新庄駅を出発。
陸羽西線と分岐し、列車は横堀方面へ。
1両編成の車内には乗客が10人前後。
新型車両なので広々としたトイレも付いてます。
休日でしたが、青春18きっぷや週末パスのシーズン外だったためでしょうか。
大半は地元民と思われる人たちで、ある意味本来の姿に近い状態を楽しめました。
ただ青春18きっぷの時期になればまあまあ混雑しそう。
ただでさえ1両ですし。
奥羽本線の車窓 pic.twitter.com/2xTMbaV8U0
— 東北旅びより@東北の一人旅メディア (@tohoku_travel) May 4, 2025
泉田駅を出発し、新庄市から鮭川村へ。
代行バスの車窓から奥羽本線の線路を…
鉄道復旧後はこの架線設備も順次撤去していくとのこと pic.twitter.com/iMmZnGsdOi
— なか / 東北旅びより (@naka_travel) March 25, 2025
代行バス乗車時も偶然同じような場所で動画を撮影してたようです。
現在はまだ架線設備が残っていましたが、そう遠くないうちに見納めかも。
羽前豊里駅に停車。
泉田駅~羽前豊里駅間は特に被害が大きかったようで、土砂流入のほか線路脇のり面が崩壊。
土砂流入が起こった区間に関しては、ブルーシートに覆われている状態でした。
今後、ブルーシート部分への植生を予定しているとのこと。
各地で記録的な大雪となった冬をまたいでの復旧工事や試運転作業…
従事者の方々には本当に頭が上がりません。
代行バス運行時は少し離れた県道沿いに停車していた羽前豊里駅。
駅周辺の方が民家が多いような印象を受けますし、利用者としては再開の日を心待ちにしていたのではないかと思います。
羽前豊里駅、以前は列車の行き違いも可能だったようですね。
真室川駅に停車。
当駅を始発・終着とする列車も1.5往復設定されていることから、新庄駅~院内駅では主要駅と言ってもいいでしょう。
復旧後は701系電車に代わり、キハ110系気動車が真室川駅までの区間運転を務めます。
厳かな駅舎が目を引く真室川駅。
真室川を渡り、さらに北へ。
盛り土ののり面崩壊があった真室川駅~釜淵駅間。
パッと見ですが、車窓からみた限りではどこが痕跡かも分からない状態だったような…
釜淵駅に停車。
この辺りは昔ながらの石積みのホームが多く、奥羽本線の歴史を感じさせてくれます。
釜淵駅が開業したのは1904年…まだ明治時代…
規模から考えるに、昔はもっと賑わいがあったんでしょうね。
そんなことを思わせる駅が沿線には多く存在します。
釜淵駅を出発すると、列車は徐々に山深い県境の区間へ。
及位駅に到着。
ここが山形県最後の駅。
次の停車駅は秋田県側の終着となっていた院内駅です。

難読駅名としても有名な及位駅。
難なく読める人は大体地元民か鉄道マニア説。
代行バスの場合は、及位駅出発後に全長1km超えの雄勝トンネルへ。
列車も同様に長いトンネルを抜け、県境の雄勝峠を越えます。
雄勝峠は、山形県の真室川町と秋田県湯沢市のちょうど境に位置する峠。
江戸時代には東北地方の大動脈のひとつ「羽州街道」の一部として整備され、参勤交代の道にも使われたそう。
それもあり、峠の両側には藩の関所や宿場町も置かれました。
ただ、そこまで整備しても「箱根の如き難関」と称されていたとか。
そんな場所を今ではトンネル1本、ものの数分で…文明の発展とは本当に素晴らしいです。
トンネルを抜けるといよいよ秋田県湯沢市へ。
及位駅~院内駅間は、気動車区間唯一の複線区間でもあります。
秋田県最初の停車駅、院内駅に到着。
反対側のホームには秋田行きの電車がスタンバイ。
始発駅から乗りたい場合はここで乗り換えてもいいでしょう。
ただ跨線橋を渡る手間が増えるため、乗り換えの楽さを取るなら終点の横堀駅が便利。
秋田県最南端、赤レンガ調の洋風チックな駅舎が目を引く院内駅。
駅舎は郷土資料館「院内銀山異人館」を併設しています。
なんでも明治時代に院内銀山に招かれたドイツ人技師の住宅をモデルにしていることから、このデザインなのだそう。
役内川を渡ると間もなく横堀駅。
新庄駅から約50分、終点の横堀駅に到着。
使用休止中だった3番線に停車しました。
横堀駅が新たに乗換駅となることに合わせ復活させたよう。
反対側のホームには秋田行きの電車が数分後に入線。
階段を渡らずに乗り換えられるので便利です。
旧雄勝町の玄関口、横堀駅。
国鉄っぽさも少し感じられる横長の駅舎がいいですね。
駅周辺はちょっとした集落になっているよう。
旅館や酒屋、個人商店、食堂…
なんだか地元に帰ってきたかのような気分。
菅義偉元首相もこの町並みを見て学生時代を過ごしたんでしょうか。
広々とした駅舎内。
2023年には無人化され、中は静まり返っています。
現在こそ普通列車のみが停車する駅でも、かつては急行列車も停車したとか。
ここから乗り換えなしで首都圏まで行けた時代があったんですね。
23年ぶり!奥羽本線の新庄駅以北に快速列車が爆誕
復旧に合わせ、新庄駅~横堀駅間では新たに快速列車を設定。
快速こまくさが2002年に廃止されて以来、新庄駅~横堀駅間において定期で走る快速は23年ぶりとなります。
途中停車駅は院内、真室川のみ。
以上2つの主要駅の利用者や乗り通す人には便利な一方、その他の駅には3~4時間も列車が来ない時間帯も。
逆に考えれば、それくらい気にしなくてもいいほどに利用者がいないということなのでしょうか。
新庄駅のように新幹線からの乗り換え客もいないため、車内には4~5人ほど。
まだ沿線の大部分で架線が残っているよう。
架線は徐々に撤去されていくとのことなので、この景色も今だけ。
定刻通り新庄駅5番線ホームに到着。
真室川駅で乗客が一気に増え、座席はほぼ全て埋まる状態になっていました。
あのとき何気なく利用していた列車が、まさかもう二度と来ないことになろうとは。
ただそれでも、線路が途切れなかったことこそが素晴らしいこと。
同様に被災し、ネガティブな話ばかりが耳に入ってくる津軽線や米坂線、陸羽東線のことがある中、よくぞ復活させてくれたなと思います。
6月までなら週末パスも使えますし、これから土日は少しずつ利用者も増えるのではないかと。
というか増えてほしい。さすがに不安なので。
【奥羽本線 乗車記】非電化で復旧を果たした新庄駅~院内駅の現在は?|まとめ
以上、今回は「【奥羽本線 乗車記】非電化で復旧を果たした新庄駅~院内駅の現在は?」という内容でお届けしました。
2025年4月25日、非電化で復旧した奥羽本線の新庄駅~院内駅間。
元通りではなかったとしても、線路が途切れなかったことこそが素晴らしいこと。
同様に被災し、ネガティブな話ばかりが耳に入ってくる津軽線や米坂線、陸羽東線のことがある中、よくぞ復活させてくれたなと思います。
6月まで使える週末パスの利用エリア内でもありますし、土日の鉄道旅行の行先にするのもアリかと。


