只見線の全線乗車記(会津若松駅~小出駅)をお届けします。
福島県会津若松市と新潟県魚沼市を結ぶ絶景の秘境路線、只見線。
四季折々の風光明媚な車窓。
日本人なら誰しも思い描くような古来の風景。
忘れていた大事な何かを思い出させてくれるようなローカル線です。
乗って楽しい、降りても楽しい只見線は観光にとてもおすすめ。
当ブログ「東北旅びより」では、以下の内容を紹介していきます。
- 只見線の乗車レポート(会津若松駅~小出駅)
- 只見線の車両設備について(車両数・トイレなど)
- 只見線の車窓の見どころやおすすめ座席
モデルコースとして、ぜひ参考にしてみてくださいね。
只見線とは?
只見線は、会津若松駅(福島県会津若松市)と小出駅(新潟県魚沼市)を結ぶ約135kmのローカル線。
全線非電化で、屈指の秘境路線としても知られています。
全線を通して運行する列車の本数はなんと上下ともに1日3本…
会津若松駅~会津坂下駅は学生利用者もいるため多少増えますが、険しい山間部を走る県境区間になると一気に減ります。
それでいて快速など優等列車の運行は基本的になく、沿線も無人駅がほとんど。
そんな路線に旅行者が殺到する理由はまさしく、この路線が「絶景の秘境ローカル線」と呼ばれているから。
- 日本経済新聞「雪景色のきれいなローカル線ベストテン」第3位(2003年)
- 日本経済新聞「紅葉の美しい鉄道路線ベストテン」第1位(2008年)
- 旅と鉄道「好きなJRローカル線ランキング(東日本編)」第1位(2016年)
- 中国のSNS微博(ウェイボー)にて「世界で最もロマンチックな鉄道」として話題に
などなど、メディアからの評価もピカイチ。
今は比較的落ち着きましたが、少し前まで海外からの旅行者も多かったのがかなり印象的でしたね。
春夏秋冬、まるで映画かのような風光明媚な車窓を見せてくれる只見線。
週末には只見線満喫号などの特別な列車が走ることも。
車窓はもちろん沿線には見どころも多く、東北で鉄道旅行をするならぜひとも乗車してほしい路線のひとつです。
【夏の青春18きっぷ旅】只見線 会津若松~小出|絶景の秘境路線で深緑の奥会津を行く
会津若松駅から小出行きの只見線に乗車
旅のスタートは只見線の始発駅、会津若松駅。
13時5分発の小出行きに乗車します。
2020年3月まで活躍した旧型車両のキハ40。
これに乗るために会津まで弾丸旅行をしまくっていた日々が懐かしい。
発車10分ほど前になると4番線に入線。
新型車両のキハE120になってから全線走破するのは初めて。
何らかのツアーと重なったためか、車内はなかなかの混み具合…
立ち客も数人いるほどでした。
おそらくほとんど終点まで乗り通す人達だと思うので、下手すれば4時間以上立ちっぱなしになりますね。
乗車の際はなるべく早めにホームで並んでいた方がよさそうです。
でも、こうして利用者がしっかりいることを実感できてうれしい限り。
【車内】只見線キハE120の座席・トイレ
キハE120
キハ110
只見線で運行する車両は以上の2種類。
今回、筆者はキハE120に乗りました。
キハ110よりも新しく、トイレもバリアフリー対応で広々としています。
2~4人掛けのボックスシートを中心とした車内。
通路は広々としており、バリアフリーに配慮した現代的な設計ですね。
ちなみにキハ110だと座席は大体こんな感じ。
クッション性はさすがにキハ110に軍配が上がります。
車いす対応の広々とした洋式トイレ。
キハ110に比べトイレが広いのがうれしいポイント。
ドア付近にはごみ箱も。
会津坂下駅までは会津盆地の田園風景が続く
定刻通りに会津若松駅を出発。
2駅先の西若松駅で会津鉄道会津線と分岐し、会津線は南側へ直進。
只見線はU字を描くように会津盆地の田園地帯を走ります。
会津坂下駅までは、日本の原風景かのようなのどかな景色が続くのが特徴的。
会津若松駅から約30分、会津坂下駅に到着。
列車交換のため7分ほど停車します。
会津坂下駅までは学生利用者も多く、当駅を終着とする列車もあるよう。
会津若松行きの普通列車をお見送り。
国鉄車のいない只見線が個人的になかなか新鮮…
愛着のある車両でしたし寂しさは未だありますが、快適性は格段にレベルアップしたように思います。
トップナンバーに遭遇。やったね。
会津柳津駅から次第に山間部へ
会津坂下を出発後、徐々に高度を上げ山奥へ。
辺りの風景もだんだんと山間部らしくなってきます。
15分ほどで会津柳津駅に到着。
柳津町の玄関口ではあるものの、中心エリアは駅から少し離れたところにあるよう。
2024年にリニューアルした駅舎やSL、赤べこが印象的です。
観光客らしき人たちが数名ここで乗車。
立ち客がさらに増えた状態で列車は発車します。
会津桧原駅を過ぎいよいよ絶景区間に突入
会津桧原駅を出発して間もなく、第一只見川橋梁を通過。
只見線を語る上では外せないビュースポットなだけあって、やはりその景色は圧巻。
少し離れた道の駅から列車の通過シーンを撮影する人も多いですが、車内からの景色も十分に素晴らしいです。
いよいよこの辺りから只見線の絶景区間がスタート。
この秘境ローカル線らしい風光明媚な景色は、越後須原駅くらいまでの約80kmの区間で楽しめます。
- 会津若松駅発 進行方向左側
- 小出駅発 進行方向右側
個人的なおすすめの座席はこんな感じ。
より多く只見川の景色を楽しめるので。
ただ景色はどちらの座席からも基本的に楽しめますし、参考程度に覚えていただければと思います。
第二只見川橋梁を通過する只見線 pic.twitter.com/5bhUfaWUMR
— 東北旅びより@東北の一人旅メディア (@tohoku_travel) September 17, 2025
会津西方駅を出発すると、第二只見川橋梁を通過。
駅から5分ほど歩いた場所に人気のビュースポットがあるので、余裕があればそちらに立ち寄るのもいいかも。
会津宮下駅を出発し、宮下ダムを通過。
霧幻峡の渡し船で有名な早戸駅に到着。
駅の目の前はもう只見川…
個人的に好きな駅のひとつでもあります。
徒歩10分の場所に温泉もありますし、時間があれば立ち寄るのもアリでしょう。
会津中川駅を出ると只見川に急接近。
会津川口駅で30分停車
会津若松駅から約2時間、会津川口駅に到着。
会津川口駅では列車行き違いのため30分ほど停車します。
福島県側最後の列車交換可能な駅ですし、タイミングが合わないとこうなるのも仕方ないのでしょう。
この時間を利用して周辺を散歩するのもアリです。
ちなみに小出方面へ直通する全3本のうち、30分も停まるのは会津若松駅13時5分発の列車のみ。
それ以外の2本は10分くらいしか停まりませんし、時間帯的に周辺を観光するのも厳しいかも。
せっかくなので駅の外へ。
金山町の代表駅らしく、やはり他の駅よりも立派です。
JAや郵便局との合築になっており、観光情報センターも併設されています。

営業終了していたため今回は食べられず残念…次こそ必ず。
周辺をざっと見た感じ旅館や飲食店、個人商店、役場に学校などなど…
駅周辺が町の中心であることがうかがえます。
駅内の売店で玄米団子(ずんだ)を購入。
柳津町に店舗を構える「甘味処 赤べこ堂」の玄米団子。
玄米独特のボソッとした食感を残しつつ、素材の旨味がよく引き出されているなと感じました。
このボソッとした食感でかつ玄米だからこそ甘めの餡が合うし、飽きずに食べられる。
これはおすすめです。
それに玄米って聞くとなんとなく罪悪感もあんまないし。
発車数分前になると、小出駅発の列車がようやく会津川口駅に到着。
引き続き小出駅へ向けて進みます。
豪雨被害から11年ぶりに全線運転再開を果たした会津川口駅~只見駅
会津川口駅を定刻通りに出発。
心地よいエンジン音に只見川、新緑や川面にうつる木々どれもが素晴らしい。
2011年3月、東日本大震災発生。
同年7月、追い打ちをかけるように起こった新潟・福島豪雨。
中でも会津川口駅~只見駅の被害はすさまじく、計4つの橋にて盛土の流出や崩壊がありました。
災害後はバスによる代行輸送が続いていましたが、長きにわたる協議の末、ついに工事が完了…
2022年10月、只見線は11年ぶりに全線復旧を果たしました。
これから先、秘境ローカル線を背負っていくということ。
それがどういうことを意味しているか…
福島県、そして沿線の市町村の覚悟は相当なものだったと思います。
只見線を残すために行動し続けてくださった関係者の皆様には、本当に頭が上がりません。
常磐線同様、全線開通はゴールではなく、新たなるスタート。
本当に大切なのはこれからです。
筆者は会津が好きなひとりの旅好きに過ぎませんが、微力でもできることをやっていきたいと思っています。
第六只見川橋梁、本名ダムを通過。
まさか車窓からこんな間近でダムを見られるとは。
迫力が段違いです。
会津川口駅から約1時間、只見駅に到着。
只見駅では10分停車するようなので、外に出てみることに。
2023年には一部設備が使用停止となり、列車の行き違いができなくなった只見駅。
使用されなくなった線路には車止めが設置され、錆が目立つように…
これで只見線内の交換可能駅は西若松・会津坂下・会津宮下・会津川口・大白川の計5駅となりました。
列車の本数を考えればこうなるのも仕方ないのかも。
臨時列車乗り入れの際など、少し不便はあるかもしれませんが。
2024年公開の映画「青春18×2 君へと続く道」のロケ地にもなった只見駅。
主要人物の故郷という設定で、ここ只見町が登場しました。
日本人なら誰しもが想像してしまうような原風景。
つい心の拠り所にしてしまいたくなる懐かしさや穏やかさ、緑の美しさに空気感。
まさに故郷という設定にピッタリだと感じます。
小出駅からJR只見線に乗り、アミの故郷である只見駅にたどり着いたジミー。中里に案内され、アミの実家に向かう。
只見駅を通る只見線は絶景を有する秘境ローカル線として知られ、2011年より一部区間が休止していたが2022年に地元の強い想いが実を結び全線運転を再開している。引用:映画『青春18×2 君へと続く道』公式サイト
映画の公式サイトでも全線運転再開に触れてくれているとは感無量。
なんでも脚本家の方が豪雨被害の一連の流れを聞き、ストーリーに盛り込んだそうで。
只見駅の時刻表。
会津若松方面、小出方面へ向かう列車はともに1日3本。
福島県&東北最西端の駅、只見駅…
ここまで来ると会津若松市よりも隣県の魚沼市へ向かう方が早いみたいですね。
只見駅から会津鉄道会津線の会津田島駅へ向かう路線バスも発着しているよう。
こちらは1日2本。
タイミングが合えば利用してみるのもアリかも。

引き続き小出方面へ向けて進みます。
いよいよ県境の険しい峠越えに入る只見線。
さすが全国屈指の豪雪地帯…
並走する道路にはスノーシェッドが目立ち始めます。
沿線には人里らしい人里もないため、駅もありません。
2013年3月に廃止となった田子倉駅。
冬季期間は閉鎖されるため、臨時駅の扱いだったそう。
駅廃止以降、只見駅~大白川駅は約32kmにも及ぶ30分のノンストップ区間となっています。

全長6km超えの長大な六十里越トンネルを抜ければ、もうそこは新潟県魚沼市。
大白川駅からいよいよ新潟県へ
只見駅から約30分、ついに新潟県最初の駅である大白川駅に到着。
大白川駅では列車行き違いのため4分停車するよう。
行き違いとなった列車は1両編成のキハ110。
まさか特別なラッピング車両がこうして並ぶ光景を見られるとは。
越後須原駅まで来ると、徐々に民家が目立ち始めるように。
魚野川を渡れば、終点の小出駅はもう間もなく。
お昼に会津を出たはずなのに、気付けばも夕暮れ時…
長かったような、短かったような只見線の旅も終わりを迎えようとしています。
終点の小出駅に到着
会津若松駅から約4時間40分、ついに終点の小出駅に到着。
越後湯沢、長岡方面へ向かう上越線も乗り入れる小出駅。
構内は広めで、待合室やトイレもしっかり整備されていました。
途中下車をして観光や撮影をするもよし。
車窓を眺めるもよし。
乗って楽しい、降りても楽しい只見線は観光におすすめです。
【夏の青春18きっぷ旅】只見線 会津若松~小出|絶景の秘境路線で深緑の奥会津を行く|まとめ
以上、今回は「【夏の青春18きっぷ旅】只見線 会津若松~小出|絶景の秘境路線で深緑の奥会津を行く」という内容でお届けしました。
四季折々の風光明媚な車窓。
日本人なら誰しも思い描くような古来の風景。
忘れていた大事な何かを思い出させてくれるようなローカル線、只見線。
途中下車をして観光や撮影をするもよし。
車窓を眺めるもよし。
乗って楽しい、降りても楽しい只見線は観光におすすめです。




